2007年1月11日(木)「しんぶん赤旗」

美浜原発3号機 再起動

関電 死傷事故から2年5カ月


 関西電力は十日、十一人が死傷した蒸気噴出事故で運転を停止した美浜原発3号機(福井県美浜町)を、二〇〇四年八月の事故発生以来、二年五カ月ぶりに本格的に起動させました。国の検査を経て二月上旬には営業運転を再開する予定です。

 事故は、配管の肉厚が薄くなり、破裂した結果、高熱の水蒸気が噴出して起きました。破裂した配管は、摩耗していたにもかかわらず、運転開始から二十八年間、まったく検査がおこなわれていませんでした。

 この配管の検査について国の基準はなく、各電力会社にまかされていました。関西電力は、メーカーの三菱重工業や、関連会社に管理を丸投げしていたことが明らかになり、原発の安全管理の無責任体制が大きな問題になりました。

未解決問題が山積

吉井衆院議員が談話

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 関西電力が美浜原発3号機の運転再開へ向けて原子炉を起動させたことに関連し、日本共産党の吉井英勝衆院議員が談話を発表しました。

 この事故による下請け労働者の被害の実相はいまだ明らかにされていない。当時、事故現場となったタービン建屋の中には百四人の下請け労働者(ほかに関電社員一人)が働いていたが、木内計測の十一人だけが全員死傷して、ほかの九十三人は、気道も体表面にもやけどなどの被害はまったくないとされたままで、真相は不明である。

 事故の直接の原因となった配管減肉の問題は、美浜3号機事故の後に、女川原発2号機(東北電力)の減肉のように、耐腐食性の配管でも短時日に大きく削られるという事実が明らかになっており、検査手法も検査個所についても肉厚検査が万全なものでなければならないことを求めている。

 国が規制緩和で保安検査体制を弱体化させ、関電が検査業務を下請けに丸投げして責任逃れを図った問題は、どこまで解明されたのか明らかでない。

 当時、同様の問題を抱える原発と火力発電所調査を行った中で、下請けの検査データを関電が「改ざん」したり、検査データが基準を「クリア」するように基準値の「書き換え」まで行っていた事実も明らかになった。

 検査データの改ざんは、その後も水力発電所のダムの測定データでも行われており、改善されていない。

 こうしたことが明らかにされず、五人の犠牲者を出してもいまだ関電幹部の責任も不明確なまま運転再開に走ることは、安全より企業利益第一主義の姿勢として厳しい批判を免れない。


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