2007年1月8日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

住み慣れた 夕張 離れない

全国から励まし 元気に成人祭

財政再建団体、市の予算はゼロ


 来年度から財政再建団体として出発することになる北海道夕張市で七日、「成人祭」が行われ、約九十人の新成人が参加しました。今年から成人祭の市予算がゼロになりましたが、市民や全国から寄せられた募金などで交流会も実施。会場は、新成人たちの元気な声であふれました。(伊藤悠希)


 昨年はホテルで行われた成人祭も、今年は市民会館が会場です。交流しあう「ふれあいパーティー」会場の正面には、赤、青、黄などの大きな紙に一文字ずつ書かれた「ありがとう」のパネルが掲げられました。「みなさんに感謝します」の文字も。

 市は昨年十一月、赤字三百六十億円を二十年間で解消するとの財政再建の基本的枠組み案を発表しました。成人祭の予算も六十万円から〇円に。昨年の繰越金一万円と実行委員会が集めた約十八万円、夕張市のことを知った全国からの人たちの募金で開かれました。パネルは、新成人たちでつくる実行委員会の感謝の気持ちを表したものでした。

 会場には、寄せられた激励メッセージも張り出されました。

 前日の会場設営には、実行委員にまじって東京から帰省した新成人(男性)の姿もありました。「夕張市の成人祭のことをニュースで知り、何か手伝えることはないかと思ってきました」。実行委員の女性は「全国の人たちが私たちのことを考えてくれて、ほんとうにありがたいです」と話していました。

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 市内のガソリンスタンドで働く新成人(男性)(20)は、「成人祭の予算がないというのは納得できない」と市の姿勢に不満顔です。

 高校では農業土木を学びました。高校で学んだ技術を生かしたいと道路公団や公務員を目指しましたが、試験に落ちてしまいました。いまはスタンドのほかに、コンクリートの状態を見る試験員の仕事も親会社から頼まれています。

 繁忙期は十二時間くらいの労働になることも。正社員ですが、手取りで基本給は十二万円ほど。「公務員を目指すための勉強をできるならしたい。いまの仕事はステップアップのためという気持ちがあったけれど、仕事を始めてみると精いっぱいというのが正直な気持ち。自分のアイデアを生かせるところがあれば行きたい」と話します。

 成人祭に参加するため休みをとったという新成人(男性)(20)は、市内のコンビニエンスストアで働いています。高校卒業後、市内の企業に就職しましたが辞めて、いまはアルバイト中。仲間との関係も良好で、周りからも信頼されています。

 時給は六百五十円。北海道の最低賃金を少し上回る時給です。両親の体の調子があまり良くないことと資金面のこともあり、夕張で働くことを決めています。財政再建団体になることで夕張を去る友達もいますが、「おれは夕張を拠点としているから」。

 昨年、成人祭を夕張市で迎えた青年にも聞きました。

 市内のガソリンスタンドで働く男性(21)は高校二年生のとき、病気で父親を亡くし母親と二人暮らし。いまの仕事は時給六百五十円。雇用保険と所得税が引かれ、毎月手取りで十三万円くらい。そこから国民健康保険を払い、親には給料の半分近くを渡しています。車の燃料費を出して、自由に使えるお金は二万円くらいしかありません。

 昨年四月から準社員になりましたが、二年たっても時給は上がりません。いまの収入では結婚も頭に浮かばない現実。「夕張は母親にとって慣れた土地。母親は、いまさら離れられない、苦しくても夕張で暮らしていきたいと言っているので、そうしたい」

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 例年より少ない雪を踏みしめながら六日、「住みつづけられる夕張の再生を求める市民の会」の約三十人が一軒一軒を訪ね、請願署名を訴えました。「市民の最低限の生活が守られるように」「市民が住みつづけられる夕張の再生を求めましょう」と。ほとんどの人たちが署名に応じ、集まった署名数は三百人を超えました。

 再建プランをこの二月に確定しようという市の動きに対して、会はこの日をスタートに一月末までに請願署名を集め、市議会と北海道知事に提出する予定です。


おとなにも希望

 「住みつづけられる夕張の再生を求める市民の会」の代表で前市議の森谷猛さん(72)の話 市が成人祭の予算を出さないというのは、若い人たちを見捨てたことに等しい。しかし、成人祭を自分たちで開催できるところまで持ってきた力と意気込みには期待しています。夕張に住み続けたいと思っているおとなたちにも希望を与えています。

 夕張は何もないところから命がけでつくってきた町。炭鉱を開いてから百年といわれています。その間、炭鉱事故や事故が原因で病気になったり、けがで亡くなった人は約六千人。誰が夕張をつくってきたのか、これから誰が夕張を引き継いでいくのか若い人たちに考えてほしいと思います。

 夕張はいま、厳しい状況にあります。しかし、住民の力で必ず変えることができます。希望を見失わずにがんばってほしい。


小泉改革が市財政にとどめ

 「炭都」と呼ばれ、人口12万人をほこった夕張市は、国のエネルギー政策の転換(石炭切り捨て)の下で閉山があいつぎ、炭鉱が消え人口が流出、いまは約1万3000人です。

 北炭など炭鉱資本は閉山後、社会的責任を放棄。上下水道、道路、住宅など都市基盤の整備を市に押しつけ、膨大な財政負担を転嫁しました。また、政府による全国的なリゾート開発の下で行われた観光開発も、下火になると市に押しつけて財政を圧迫。小泉構造改革の下での「三位一体改革」による市財政への交付税縮減は3年間で23億円にのぼるなど、市財政にとどめを刺しました。

 昨年11月に発表された財政再建の基本的枠組み案には、市税引き上げ、保育料値上げ、ごみ有料化、高齢者のバス運賃補助(敬老パス)廃止、小中学校を各1校に統廃合、市民会館、図書館などの廃止、市職員の削減などが盛り込まれています。


お悩みHunter

将来アナウンサーに
仕事が入るのか不安

  アナウンサーをめざして週に一回、東京の専門学校に通っています。愛知では、ときどきイベントの司会をしています。今後は、結婚式の司会などをできるように勉強中ですが、毎月どのくらいの仕事が入ってくるかわかりません。それによって、お給料も変わるので不安です。(女性、26歳。愛知県)

展望もてば不安に勝てる

  いま、あなたは明確な進路の目標をお持ちなのですね。そして、実際に活動なさっていて現場の実態を知っているがゆえに、不安を抱えているのでしょう。

 私は、こういう職業はマイナスからのスタートだと思っています。同業種の先輩方は経験を多く積み人脈も広げていますが、あなたはこれからです。

 私は、不安というものは常に抱えていてもいいと思っています。しかし、押しつぶされて前に進めないのも困ります。大事なのは不安との付き合い方です。

 私は、不安に打ち勝つには「展望を持つこと」だと思います。今の自分をさらにどれだけ伸ばせるか、どれだけ幅を広げられるか。努力して自分を磨いていけば、必ず展望が持てると思います。

 そして、自分で仕事をしていてよく思うことは「商売は人と人とのつながり」ということです。いま、あなたが仕事などで出会う人たちを大切にしてください。

 学校でも現場でも、日々勉強だと思います。そして、いろいろやる中であなたに合った得意分野を見つけ、周りに認められるようになったとき、「これでやれる」という自信も持てるのではないでしょうか。

 大変でしょうが、あきらめずにがんばってください。応援しています。


第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林 秀一さん

 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。


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