2006年12月29日(金)「しんぶん赤旗」
フランス
死刑廃止、憲法に
改正案で条文化
【パリ=浅田信幸】二十五年前に死刑を廃止したフランスが、これを仏共和国憲法の条文に加えるため改正作業を進めていることが二十七日明らかにされました。憲法改正の法案は一月二十四日に閣僚会議に提案される予定です。
条文は「何人も死刑の宣告を受けえない」だけで、現行憲法第六十六条「恣意的拘禁の禁止、個人の自由の保障」の第一項目に追加されます。これによりフランスは、死刑廃止をめざす「市民的及び政治的権利に関する国際規約」第二選択議定書の批准が可能になります。
同国は一九八一年に死刑を廃止。直後には国民の62%が死刑復活に賛成でしたが、今年九月の世論調査では52%が死刑復活に反対を表明し、国民に広く受け入れられるようになっています。
二十五日には、日本での四人の死刑執行がフランスでは国際ニュースとして大きく報じられ、二十七日にはイラクのサダム・フセイン元大統領の死刑判決が確定しました。
こうした中で、死刑反対を訴えるアムネスティ・インターナショナルは同日、「フランスは、この残虐で非人間的かつ下劣な懲罰を維持している各国政府に強いメッセージを送ることになる」と憲法への条文化を歓迎する声明を出しました。

