2006年12月26日(火)「しんぶん赤旗」

主張

来年度の軍事費

あからさまな米軍奉仕の予算


 二〇〇七年度政府予算案で、軍事費は〇六年度比0・26%減の四兆八千十六億円です。社会保障関係費を大幅抑制する一方で、軍事費をほぼ同水準にしたこと自体、日米軍事同盟重視のあらわれです。

 〇七年度の軍事費は防衛庁から昇格する防衛省(〇七年一月九日発足)の初予算案です。日米両政府が合意した「世界のなかの日米同盟」路線を具体化しています。

「自衛」と無関係

 自民、公明、民主三党が強行した自衛隊法改悪で海外派兵が自衛隊の本来任務となりました。予算案の柱の一つが海外派兵関連です。

 陸上自衛隊の海外派兵の計画・訓練・指揮にあたる中央即応集団司令部を朝霞駐屯地(東京都、埼玉県)から、米軍キャンプ座間(神奈川県座間市、相模原市)に移す計画は重大です。キャンプ座間に移転する米陸軍第一軍団司令部と連携して、自衛隊の海外作戦を指導する司令塔になるからです。

 中央即応集団司令部の指揮を受けて「海外平和協力活動」に迅速対処する「中央即応連隊」の新設は、日本が海外で軍事作戦を専門にする実戦部隊をもつことを意味します。

 この海外派兵態勢づくりはアメリカがイラク戦争のような先制攻撃戦争をはじめれば、自衛隊を真っ先に海外の戦場に送り、進んで米軍を支援するためのものです。「日本防衛」とは無縁です。戦争を放棄した憲法九条のもとで、海外で戦争できる正真正銘の軍隊づくりを強行するなど許されません。

 約千八百二十六億円を計上した「弾道ミサイル防衛」も、日本を在日米軍基地と米国本土を守る盾にし、アメリカが反撃を心配しないで世界で先制攻撃戦争をおこなえるようにするためのアメリカのための戦略防衛にすぎません。「日本防衛」のためというのは間違いです。

 米軍基地再編経費は「地元負担軽減」を口実にしただけでも七十二億円が計上されました。沖縄新基地(沖縄県名護市)建設のための環境影響評価調査に十億円、岩国基地(山口県)への米軍機部隊の移設調査に一億四千万円、再編交付金五十億円などが内容です。

 これは国内の米軍基地と自衛隊基地、グアム米軍基地の再編のために要する三兆円支出に向けた第一歩です。軍事費は国内総生産の1%以内に抑えるという政府方針があるため、政府は米軍再編経費を従来の軍事費とは「別枠」扱いにして、いくらでも税金を投入するしくみを新たに導入しました。これも「特別の予算措置を考えているのか」という米政府の言い分(六月の日米防衛首脳会議でラムズフェルド国防長官=当時)にそったものです。

 生活予算を削り国民の痛みを大きくしながら、海外派兵態勢づくりを加速し、従来の軍事費と別枠扱いのしくみまでつくって米軍のための巨額負担にふみだした安倍内閣の対米追随姿勢はあまりにも異常です。

 アメリカいいなりの際限のない軍事費を認めることはできません。

憲法9条の力

 アジアと世界は戦争一本やりでなく、平和的話し合いで紛争を解決する流れを加速しています。アメリカにつきしたがって、海外で「戦争をする国」にする路線そのものが根本的に問われています。安倍内閣の日米軍事同盟強化路線では日本は世界で孤立するだけです。

 軍事一本やりをあらため、憲法九条を生かした平和への道に徹することが必要です。


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