2006年12月25日(月)「しんぶん赤旗」

本間政府税調会長 辞任したが…

「公務員宿舎売却」 何が問題だったのか


 政府税制調査会の本間正明会長が辞任しました。公務員宿舎に不適切な形で入居していた問題で、世論の批判をかわせなくなったためです。

旗振り役の入居

 本間氏は、公務員宿舎の売却を推進する経済財政諮問会議の「資産債務等専門調査会」の会長としてその旗振り役を果たしながら、自らは都心の一等地、東京・渋谷の3LDKで家賃は月七万七千円の公務員宿舎に入居していました。このことが厳しく問われたのです。

 本間氏が推進した公務員宿舎の売却とはどういうものか。

 政府資産の売却は安倍内閣公約の目玉の一つです。首相就任後初めての所信表明演説で「国の資産の売却・圧縮を積極的にすすめ、二〇一五年までに政府の資産規模のGDP比での半減をめざす」とのべました。

 この発言のもとになったのが、九月二十二日の「資産債務等調査会報告(中間整理)」です。ここでは「政府をスリム化し経済資源を民間のより効率的な利用に委ねる」としています。

 すでに不用になった宿舎や庁舎を国民のために有効活用するならそれも一理あるでしょう。しかし、本間氏など経済財政諮問会議がすすめる政府資産の売却はそれとはまったく異質。徹頭徹尾、財界・大企業の要望に応えるものです。

 たとえば大手不動産会社の団体である社団法人不動産協会(理事長・岩沙弘道三井不動産社長)は、国家公務員宿舎跡地の有効高度利用をすすめることは「都市再生の推進に効果的であり、まことに有意義である」と天まで持ち上げています。そして「早期の事業実施を期待するとともに民間のまちづくりのノウハウを最大限活用するため、企画提案型コンペの積極的活用」を強く要望しています。(八月「都市再生推進に関する要望」)

中曽根首相時も

 過去にも公務員宿舎跡地が新宿西戸山開発という大手不動産会社の連合体の開発会社に随意契約で(競争なしの契約)売却され、当時の首相・中曽根氏と事業参加会社とのあいだで不明朗な癒着があったのではないか、という疑惑が日本共産党国会議員によって指摘されたことがあります。中曽根氏の政治団体に参加企業から政治献金がおこなわれ、後にそれが返還された事実も明らかにされました。

 財務省内に設けられた「国家公務員宿舎の移転・跡地利用に関する有識者会議」(座長・伊藤滋早稲田大学特命教授)が出した「報告書」では、今後十年間で二百三十三カ所(一万八百四十戸)を廃止することが明らかにされています。この跡地を使って、事務所ビルやマンションを建設し、開発利益を得ようというのが、財界・不動産デベロッパーのもくろみであることは間違いありません。

 このような今後の開発のお手本になっているのが、現在進められている、東京・大手町の合同庁舎跡地の再開発です。周辺地価より超安値で都市再生機構を“トンネル”にして千三百億円で売却され、既存の容積率を大幅に上乗せして財界の総本山・日本経団連ビルや日経ビル、JAビルが建設される予定です。

 こうした公務員宿舎の売却推進の当事者である本間氏は「調査会」でこう発言しています。

 「マーケットプライス(市場価格)と宿舎使用料が随分違う」。(使用料の決め方を説明した国有財産調整課長の発言に対して)「世の中ではそれは通用しないのではないかということが今議論されている…」(調査会議事要旨)

 つまり本間氏は、公務員宿舎使用料が安すぎるといっていながら、自分はちゃっかりその高級官舎に入っていたのです。

首相責任を問う

 辞任したとはいえこのような人物を起用した安倍首相の任命責任が問われるのは当然です。同時に、財界・大企業を潤すために国民の貴重な共有財産が民間企業に売却されることにたいしても監視の目を向ける必要があり、この点からも安倍内閣の責任が厳しく問われます。(高瀬康正・国民運動委員会)


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