2006年12月24日(日)「しんぶん赤旗」

あす沖縄・新基地協議会

V字案 知事の対応 焦点に

あくまで実現狙う政府


 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地建設計画について、政府と同県など関係自治体が協議する「普天間移設協議会」の第二回会合が二十五日に首相官邸で開かれる予定です。仲井真弘多県知事の就任後初の会合で、その対応が厳しく問われます。(榎本好孝)

 仲井真知事は県議会の十二月定例会で、協議会では(1)新基地建設案の協議が地元の合意なしに日米間で進められたことに抗議する(2)普天間基地を三年以内には閉鎖状態にするなど危険性の除去を求める(3)日米で決めた現行のV字形案のままでは賛成できないと述べる―と表明しました。

公約大きく後退

 V字形案は、米海兵隊キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)に二本の滑走路をV字形に配置した新基地を建設するというもの。日米が在日米軍再編「最終報告」に盛り込みました(五月)。

 現行のV字形案について仲井真知事は県議会で「さまざまな問題を抱えている」とし、「政府に適切な対応を求める」と答弁。普天間基地の危険性除去については「暫定的なヘリポート建設や一時的な分散移転など政府はあらゆる方策を検討すべきだ」と述べました。

 一方で知事は十一月の知事選で、普天間基地の県外や海外への移設は難しいとの認識を示し、「名護市への移設は大きな選択肢の一つ」と発言しました。名護市での新基地建設を容認する立場も明かしています。

 普天間基地の閉鎖状態については「ヘリ等の運用が極力軽減された状態だ」と県議会で述べ、知事選の公約を大きく後退させて完全閉鎖を求める考えがないことを明らかにしました。その具体案も「政府が米側と協議し示すことが必要」とし、日本政府に検討を委ねる姿勢です。

「アメとムチ」で

 これに対し日本政府はV字形案が「唯一の一番いい案」(久間章生防衛庁長官)だとして、同案の実現をあくまで図ろうとしています。米側も「われわれが期待しているのは(日米)両政府が合意した計画を実行することだ」(メア在沖縄総領事)と強調しています。

 普天間基地の三年以内の閉鎖状態についても日本政府は「そう簡単に希望通りにはいかない」(久間氏)と拒否。「そのためには早く(普天間基地の)代替施設を造ることが大事」(同)とし、逆に新基地建設の早期実現を迫っています。

 V字形滑走路をめぐっては、日本政府と地元・名護市などが米軍機の住宅地上空の飛行を避けるため、二本の滑走路をそれぞれ離陸・着陸専用に分け、離着陸の方向も一方向に限ることで合意していました(四月)。

 ところが日本政府はこの合意を破り、「緊急時」や「有事」の場合はいずれの滑走路も双方向からの着陸を容認。さらに米側は、訓練の際にも双方向からの着陸があり得るとし、「一回も住宅上空を飛ばないという約束はできない」(メア総領事)と言明しています。

 一方で日本政府は、いったん廃止を決めていた名護市など沖縄本島北部への「振興策」(北部振興策)の継続を決定。さらに、計画の進ちょく状況に応じて交付金を出す新制度の創設を決めました。同制度は計画を受け入れなければ交付金を出さないもので、「アメとムチ」で受け入れを迫ろうとしています。


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