2006年12月23日(土)「しんぶん赤旗」
米軍再編費
「GNP1%」の枠外
際限ない拡大に道開く
財務省が防衛庁に内示した二〇〇七年度「防衛関係費」予算で、新たに導入した米軍再編経費を従来の「防衛関係費」と「別枠」扱いにするしくみが、いくら米軍再編経費を増やしても、政府の軍事費を国民総生産(GNP)1%以内に抑えるという原則が適用されず、際限のない軍拡に道を開くものであることが明らかになりました。
GNP1%枠は一九七六年十一月、当時の三木内閣が軍事費の際限のない増額への批判をうけ、「当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えない」と決定したものです。国防会議(当時)と閣議で決定されたこの方針は、1%を0・006ポイント超えた一九八九年度を例外として、一貫して守られています。
しかし、この決定の対象とされているのは、自衛隊経費と米軍「思いやり」経費を内容とする従来の「防衛関係費」だけです。これとは「別枠」とされた沖縄県内の米軍基地たらい回しのためのSACO(沖縄にかんする特別行動委員会)経費は対象にされていません。
米軍再編経費も対象外となります。防衛庁も本紙の問い合わせに、「1%枠外」と認めています。
米軍再編経費は初年度にあたる〇七年度予算案では七十二億円にとどまっていますが、十年間で三兆円にものぼります。一年間で数千億円ということもありえます。
「別枠」方式は、安倍内閣が1%枠原則にとらわれずに、米軍のために巨額をひねりだすしくみになります。軍事費の総額は対国民総生産比1%を超えることになり、国民生活予算をますます圧迫することになります。