2006年12月20日(水)「しんぶん赤旗」
経団連、賃上げ否定
経労委報告 労働法改悪を主張
日本経団連(御手洗冨士夫会長)は十九日、財界の労務方針となる〇七年版経営労働政策委員会報告「イノベーション(革新)を切り拓(ひら)く新たな働き方の推進を」を発表しました。
史上最高益をあげながら賃上げには強く反対する一方で、法人税の大幅引き下げを要求。企業の競争力強化のため「新しい働き方」が必要だとして、非正規雇用のいっそうの拡大と労働法制の改悪を打ち出しています。
来春闘については「生産性の向上の如何(いかん)にかかわらず賃金水準を底上げするベースアップはありえない」と指摘。「歴史的低水準」と指摘される労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)の引き上げにも「水準は産業、企業ごとに違う」などと牽制(けんせい)しています。
雇用政策については、「多様な人々の就労参加」と「柔軟な働き方」を提起。女性や高齢者、外国人などの活用を掲げるとともに、正社員でなく「柔軟な就労形態」を強調。長期パートの正社員化についても「雇用形態の転換を法的に強制することは適当でない」として、不安定・低賃金雇用の拡大を掲げています。
「柔軟な働き方」と称して労働法制の規制緩和を主張。何時間働いても残業代ゼロの「ホワイトカラーエグゼンプション」(労働時間規制の適用除外制度)導入を強く求め、要件などは「労使自治にゆだねるべき」としていっさいの要件設定にも反対しています。
社会問題になった「偽装請負」については、派遣労働者を自由に使えるように、制限期間を超えた労働者にたいする直接雇用の申し込み義務の撤廃を求めています。