2006年12月15日(金)「しんぶん赤旗」

難病患者公費負担医療切り捨て

患者団体が抗議声明


 厚生労働省の特定疾患対策懇談会(健康局長の私的諮問機関)が、かいよう性大腸炎とパーキンソン病の患者九万人を難病の公費負担医療制度から除外する意見をまとめた問題で、日本難病・疾病団体協議会(JPA、伊藤たてお代表)は十四日、懇談会の意見に「抗議」する見解を発表しました。かいよう性大腸炎の患者団体でつくるIBDネットワークも同日、「見直し方針そのものの撤回」を求めた抗議声明を厚労省に送付しました。


 JPAの「見解」は、政府が補助対象から外そうとしているかいよう性大腸炎の軽症者とパーキンソン病の重症度3の患者は、いずれも原因不明、治療方法未確立、重篤な後遺症を残す恐れがあり生涯にわたって医療が必要な難病患者だとして、除外に反対しています。

 また除外されると研究事業に支障をきたし、早期治療の後退や重篤化、自治体の独自施策からの除外も危ぐされるとしています。難病対策の基本的な検討の場である厚生科学審議会難病対策委員会の開催と、難病予算を増額し、未指定の疾患を公費負担医療制度や研究事業の対象にするよう求めています。

 IBDネットワークの「抗議声明」も、特定懇の方針は「まったく受け入れることはできない」と強く抗議しています。かいよう性大腸炎の患者の66%におよぶ「軽症者」は、副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤や免疫抑制剤など強い薬を使っており、副作用の影響や、いつ病状が悪化するかわからない状態に置かれていると指摘。厚労省は患者の実態を無視し、単に予算面から見直しを進めていると批判しています。


 IBDネットワークには、難病の公費負担医療制度見直しについて、患者から切実な声が寄せられています。

職に就けない

 ほかにも持病を抱えており職に就けません。生活費と治療費で正直ギリギリの生活をしていますので、医療費の負担が増えると生活できません。公費負担を打ち切られれば、家族にはますます迷惑をかけてしまい、自分が生きていることの心苦しさは今まで以上のものとなります。

多額の出費が

 軽症者といっても「軽症」を維持するには毎月多額の出費が必要である。「軽症だから出費が少ない」ということにはならない。難病の実態をしっかりと把握してもらいたい。

容体急変する

 この病気はいつ容体が急変するか分からない。会社組織で働く場合、理解がないと勤まりません。万一働けなくなったときに軽症者は自己負担となると生活できない。

生活保護増加

 治療費負担重荷↓治療減↓再燃(悪化)↓重症化↓入院↓働けない↓という構図は、生活保護者を増やすだけだ。

不安募ります

 (補助対象から)外す前に患者たちの職業を見てください。内臓疾患患者は見た目には健康そうに見えたりするのですが、現実的に就職が健常者と差別されバイトかパートもしくは派遣等収入面で安定的ではなく、将来的にも不安が募ります。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp