2006年12月6日(水)「しんぶん赤旗」

補助犬法改正 どう考える?


 〈問い〉 障害者にたいする介助犬について、要望をうけて法改正がされると聞いています。どんな改正になりますか?(埼玉・一読者)

 〈答え〉 身体障害者にとって、補助犬(介助犬、盲導犬、聴導犬)の利用は、生活の一部であり、自立と社会参加に不可欠なものです。そこで議員立法による「補助犬法」が成立、02年10月から施行されました。

 この法律の趣旨は、補助犬の同伴利用(受け入れ)を、国などの公共施設や公営住宅、公共交通機関、不特定多数が利用する施設などでは義務化するというものです。しかし、個人の事業者や住宅などでは受け入れを努力義務にとどめていました。

 補助犬の認定数は04年9月現在で、盲導犬984頭、介助犬17頭、聴導犬7頭程度です。この面での先進国アメリカでは、およそ盲導犬1万頭、聴導犬4000頭、介助犬3000頭(03年3月)といわれ、日本の立ち遅れが目立ちます。この遅れが、補助犬自体への理解の遅れにつながり、「補助犬法」の周知も不徹底なまま、しばしば受け入れ拒否などのトラブルが起きています。

 今年10月は法施行後3年の見直し時期にあたり、いまは努力義務にとどまっている「民間の住宅・職場・学校」の受け入れを義務化してほしいという障害者の要望も高まり、超党派の「身体障害者補助犬を推進する議員の会」で法改正に向けた検討がされています。

 12月1日の議連幹事会では、今国会でめざす改正点は、(1)受け入れ拒否などへの苦情に対して、障害者と施設管理者双方への助言、指導などの処理業務は、都道府県がおこなうものとする、(2)一定規模以上の事業所では、障害者の補助犬の受け入れを拒んではならないこと、(3)その他の事業所でも補助犬受け入れを拒まないように努力する、というものです。

 一方、民間住宅での補助犬の受け入れについては、現行の努力義務規定を義務規定に変えることは、まだハードルが高いとして今回は見送るが、今後も議連として引き続き取り組む課題であることを確認しました。

 ともあれ、障害者の自立と社会参加に必要な補助犬の活用について、国は、その養成や訓練、啓蒙(けいもう)や使用の推進などでいっそう積極的な役割を果たすべきです。とりわけ補助犬の受け入れを促進するうえで「補助犬法」の周知徹底を進めることが求められます。(一)

 〔2006・12・6(水)〕


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