2006年12月3日(日)「しんぶん赤旗」

大銀行 法人税ゼロ

空前のもうけ3兆円なのに

国民は住民税増税・負担増なのに


 大手銀行六グループ(三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、住友信託、三井トラスト)は九月期中間連結決算でも、過去最高を更新する最終利益(純利益)を計上しました。しかし、どのグループも法人税を納めていません。税務上の優遇によるものですが、「空前のもうけをあげているのに、なぜ税金を払わないのか」と国民の怒りが高まっています。(矢守一英)

 六グループのうち、三菱UFJとみずほが二〇〇二年から、三井住友は〇一年から法人税ゼロが続いています。(図)

図

 いまは大幅な黒字でも、不良債権処理に伴って過去に積み上げた赤字と相殺される税務ルールのためです。

 しかも黒字で埋めきれなかった赤字は、翌年以降に繰り越せます。これが「繰越欠損金制度」です。不良債権処理を後押しするためとして、〇四年度から繰越期間が五年から七年間に延長されました。この間に新たに赤字が発生すれば、繰越期間はさらに延びることになります。

 このルールは、すべての企業に認められていますが、不良債権処理で巨額の赤字を抱えた大手銀行に大きな恩恵を与える仕組み。その恩恵は、不良債権処理を終えた後も続いています。

 日本経済研究センターでは、繰越欠損金を解消し、法人税を払うようになるには三菱東京UFJ銀行が約二・五年、三井住友銀行は約三・三年、みずほ銀行が約四・四年かかると試算(〇六年三月期決算ベース)します。

 一方、大手銀行は大もうけしているのに、利用者には還元していません。預金金利は多少上がったとはいえ、普通預金の金利は年0・1%。百万円を預けていても千円(税引き後八百円)の利子しかつきません。

 相次ぐ銀行店舗の統廃合や人減らしの影響で、窓口やATM(現金自動預払機)の前で行列ができ、長時間待たされることも珍しくありません。


納税すれば8千800億円

 六大銀行グループすべてが法人税を納めるとどのくらいの金額になるのでしょうか。業績予想(〇七年三月期通期)で、最終利益は総額二兆九千六百億円と見込まれています。それに法人税率30%(国税分のみ)を掛けて計算すると税額は八千八百八十億円になります。

 この税収があれば、住民税の定率減税半減(約四千億円)、公的年金等控除の縮小など高齢者を苦しめる住民税増税(約千六百億円)、高齢者分の介護保険料の引き上げ(約二千億円)も障害者の支援費制度・医療の自己負担強化(約七百億円)などをやめてもおつりがきます。


表

利用者・国民に 利益の還元を

 銀行問題を国会で追及してきた、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の話 銀行は公的資金を受けて救われ、今日のように莫大(ばくだい)な利益を上げるようになりました。それなのに、税金も納めず国民に還元もしないで、自民党だけには献金を再開しようとしています。銀行業界が日本経団連の要請を受けて、九年ぶりに政治献金を再開する検討に入ったということです。銀行側は献金の目的を「社会貢献のため」といいますが、社会貢献というなら、利用者・国民に対する利益還元こそ真っ先に行うべきではないでしょうか。



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