2006年12月1日(金)「しんぶん赤旗」

海外派兵が本来任務に

「防衛省」法案を可決

衆院本会議

自・公・民が賛成 赤嶺氏反対討論


写真

(写真)反対討論する赤嶺政賢議員=30日、衆院本会議

 自衛隊の創設以来初めて、自衛隊の任務に海外派兵を位置付け、憲法を真っ向から踏みにじる「防衛省」法案が三十日の衆院本会議で、自民、公明、民主、国民新の各党の賛成多数で可決されました。日本共産党と社民党は反対しました。

 「防衛省」法案は、自衛隊の海外派兵を本来任務とし、防衛庁を省に移行させるものです。

 反対討論に立った日本共産党の赤嶺政賢議員は、新たに任務とするテロ特措法、イラク特措法などの活動は、米軍への支援活動そのものであり、「自衛隊を『米軍戦争支援隊』にするもので、世界の平和秩序への逆行だ」と批判しました。

 さらに久間章生防衛庁長官が、憲法があるから省にしていないと説明すれば外国の理解は得られるなどと答弁していることを示し、省移行のための政府の根拠が総崩れになったと指摘。省移行の狙いは「米軍再編をはじめ住民無視の軍事行政を迅速かつ強力におしすすめる体制をつくるものだ」と批判しました。

 与党は「自衛隊に任務にふさわしい位置付けを」(自民党の今津寛議員)、「国民の不安は払しょくされた」(公明党の東順治議員)と主張。民主党の笹木竜三議員は、本来任務とされたイラク派兵について「派遣の根拠に問題がある」としながら、法案には賛成を表明し、自民党席から拍手が送られました。


憲法背反の重大法案

参院で廃案へ力尽くす

志位委員長

 日本共産党の志位和夫委員長は三十日、国会内で記者会見し、「防衛省」法案が自民、公明、民主、国民新の各党の賛成多数で衆院を通過したことについて記者団に問われ、「自衛隊を“海外派兵隊”にするもので、憲法に背反する重大な法案だ。参院で廃案にするために力を尽くす」とのべました。

 志位氏は、「防衛省」法案について、「自衛隊法を改定して、自衛隊の主たる任務に海外派兵活動を含めることが一番の眼目であり、そのために従来の『庁』を『省』にするというのが法改悪の核心部分だ」と批判。「政府はこれまで、自衛隊を『自衛のための必要最小限度の実力』と説明してきた。自衛隊法も、基本的な役割を『わが国の防衛』と明記している。そこに海外派兵任務が併記されてくると、自衛隊について説明してきた政府の憲法解釈自体もくつがえることになる」と指摘し、法案の違憲性を強く批判しました。

 また、衆院安全保障委員会で同案の審議時間がわずか十七時間にとどまったことにふれ、「重大な法案の審議にもかかわらず、わずかの審議時間で採決を強行したことも許しがたい」と批判しました。

 志位氏は、民主党、国民新党が法案に賛成したことについて問われ、「民主党はイラク派兵に反対するというが、無条件の海外派兵任務を規定した法案に賛成するとなれば、これは自己矛盾になる。結局、この党が、海外派兵をすすめるという点では、自民党と同じ流れのなかにあることを示した」と批判。民主党が採決日程に同意したことについても、「委員会での審議の際に、野党間で徹底審議を求めることを確認していたはずだ。この点でも説明のつかない態度だ」と批判しました。


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