2006年11月28日(火)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

執拗な「君が代」指導

「指がたて3本入るまで口開けて」

井上議員が告発

井上氏「異常では」 文科相「ノーコメント」


 二十七日の参院教育基本法特別委員会での日本共産党・井上哲士議員の質問は、「国を愛する態度」などを「教育の目標」に掲げる教育基本法改悪法案が憲法一九条の「思想・良心の自由」を侵し、子どもの内心に踏み込む危険性があることを浮き彫りにしました。


写真

(写真)質問する井上哲士議員

 井上氏が取り上げたのは、学校現場での「日の丸・君が代」強制の問題です。

 「日の丸・君が代」強制を違憲・違法とした九月二十一日の東京地裁判決は「我が国において、日の丸、君が代は、明治時代以降、第二次世界大戦終了までの間、皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきたことがあることは否定し難い歴史的事実」としています。

■自由認めつつ

 一九九九年の「国旗・国歌法」制定当時の野中広務官房長官は「(『日の丸・君が代』が)戦時中のあの一時期、誤った戦争への手段の一つに使われた反省」があると答弁しています。

 井上 「日の丸・君が代」を批判する世界観、主義、主張を持つ者の思想・良心の自由も、当然憲法上保護されなければならないのではないか。

 塩崎恭久官房長官 思想・信条は自由でございます。

 井上 それは児童・生徒にも当然認められる。どうか。

 塩崎官房長官 思想・信条は自由であります。

 しかし、学校現場では官房長官の答弁に反した事態が起きています。東京都町田市では二〇〇四年十二月に、市教育委員会が「君が代」を校歌などと同じ声量で歌うよう指導することを求める通知を小中学校校長に出しました。通知後、音楽の授業のたびに「君が代」の練習があり、卒業式直前の一週間は毎日練習という状況でした。音楽の先生が「もっと大きな声で」「指がたてに三本入るまで口を開けて」と児童に執拗(しつよう)に指導を繰り返したといいます。

 井上氏は、有馬朗人文相(当時)が「口をこじ開けてまで歌わすのは許されない」とした答弁を紹介し、「こんな苦痛を子どもたちに味わわせることは異常だと思わないのか」とただしました。伊吹文明文科相は「コメントはさしひかえたい」と、まともに答弁しませんでした。

■強制いっそう

 現在進行中の学習指導要領改定作業の中で、文科省が九月二十九日に中央教育審議会の初等中等教育分科会・教育課程部会に配布した資料では、音楽の分野で義務教育段階で子どもたちに身に付けさせたい能力として「日本の伝統的な旋法による『君が代』の美しさや自国を尊重するこころをもつなど」と書かれています。現行の指導要領には「いずれの学年においても指導すること」とだけ書かれており、現行より大きく踏み込んだ内容になっています。

 井上氏は「『君が代』に抵抗感のある子どもが『自国を尊重するこころ』を持てと指導される」と指摘。「義務教育で到達すべき目標だからと、『君が代は美しい』『国を尊重しろ』という『こころ』を持つまで繰り返し指導すれば、これは強制以外のなにものでもない」と批判し、改悪法案の撤回を求めました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp