2006年11月27日(月)「しんぶん赤旗」
米軍関係者を優遇
韓国 刑務所収容者に格差
韓国の拘置所や刑務所で、在韓米軍関係者に比べ韓国人やその他の外国人の収容者が差別的待遇を受けていることが分かり、問題になっています。野党・民主労働党の魯会燦(ノ・フェチャン)議員が二十三日、国会の予算決算委員会でとりあげました。
魯議員によると、罪を犯した米軍関係者には、在韓米軍地位協定に基づき、一人用ベッドや洋式水洗トイレが備え付けられた広さ七・五平方メートルの個室が提供されています。現在、暴行の疑いで二人がソウル拘置所に、殺人、暴行などで五人が天安少年刑務所に収容されているといいます。
米軍関係者の個室では、一日中テレビやビデオを見ることができ、浴室にはいつでも利用できる温水シャワーや洗濯機もあります。運動室には、バーベルやランニングマシンなどがあり、家庭用ゲーム機も備えられているといいます。
また、厨房には冷蔵庫やガスレンジ、電子レンジがあり、自分で料理して食べることができるということです。
一方、韓国人収容者の場合、十六平方メートルの部屋に五―七人、十九平方メートルの部屋に九人が入っており、収納スペースやトイレを除けば、一人あたりの生活空間は一・七平方メートルだといいます。
食事も、米軍関係以外はたいへん貧弱です。一日一人あたりの予算は二千六百ウォン(約三百二十四円)にすぎず、燃料費などを差し引いた一食あたりの予算は八百四十一ウォン(約百五円)しかありません。収容者四百五十人を対象にした魯議員の調査では、ご飯と汁、キムチのほかにおかず一種類という内容で、六割が「満足できない」と答えています。
安養刑務所や釜山刑務所では、トーストやサンドイッチ、牛乳、チーズ、果物、ジャガイモといったメニューばかりが毎日繰り返し出されているといいます。
魯議員は、あらゆる被拘禁者が「人道的に、人間の尊厳を尊重して処遇されなければならない」と定めた国連被拘禁者人権原則を紹介し、「新たに国連事務総長を輩出した国の拘禁施設で、このような差別があるのは、あまりにも恥ずかしい」と、収容者の待遇改善を求めました。
(中村圭吾)