2006年11月26日(日)「しんぶん赤旗」
来年に大規模爆破実験
住民反対“放射性粉じん散らす”
米・ネバダ
【ワシントン=山崎伸治】米国防総省がネバダ実験場で実施を計画し、地元住民による訴訟のため延期されていた大規模爆破実験(通称「神の外板」=ディバイン・ストレーク)について、同省が実施場所を再検討した結果、予定通り同実験場で行う方針を固めたことがわかりました。複数の地元メディアが先週末、報じました。
それによると、同省国防脅威軽減局がニューメキシコ州選出のピート・ドメニチ上院議員(共和党)に対し、同州の実験場は使わないことを伝えたことから、ネバダ実験場での実施方針が明らかになったとしています。
実験は、硝酸アンモニウムと燃料油を混ぜ合わせた溶液七百トンを深さ三十六フィート(約十一メートル)の穴の中に入れて起爆。穴の底からさらに百フィート(約三十メートル)下のトンネルにどのような衝撃を及ぼすかを調べるものです。核兵器を含む地中貫通型(バンカーバスター)の新型兵器の開発に必要なデータを得ることが狙いです。
実験は当初六月二日に予定されていましたが、ネバダ、ユタ両州の実験場風下地域の住民が、過去の核実験で汚染された粉じんが爆破によって飛散する危険性を指摘して提訴したことから、延期されています。二〇〇七年中の実施が計画されています。
五月に実験が延期されたことを受けて、同局は実験場所の変更を検討。インディアナ州ミッチェルの採石場跡地、ニューメキシコ州ホワイトサンズのミサイル発射場、ユタ州ダグウェイ試射場、カリフォルニア州チャイナ・レークが候補にあがっていました。
しかし十七日付の地元紙ラスベガス・レビュー・ジャーナルによると、「いずれも一億ドルの費用がかかる」ため、すでに準備が整い、「一年以内に五百万ドル程度の費用で行える」ネバダ実験場に決定したといいます。
十八日付の地元紙ソルトレーク・トリビューンは社説で、実験が放射性粉じんをまき散らす懸念を指摘し、「こんな役立たずの事業はまとめて中止したほうが良いし、金もかからない」と批判しています。