2006年11月18日(土)「しんぶん赤旗」
防衛庁長官
核兵器装備の米潜水艦航行
日本領海内も容認
久間章生防衛庁長官は十七日の閣議後の記者会見で、核兵器を装備した米潜水艦の日本近海航行を容認した自らの発言について、現状では同艦の日本領海内航行も容認可能との見方を示しました。
久間氏は「昔は領海三カイリだったが、今は十二カイリになっている」と指摘した上で、「当時は(米潜水艦が三カイリから十二カイリの範囲を)堂々と通航していいことになっていた。きのうまで良かったのがきょうから何で駄目かという話になる。議論を整理した方がいい」と述べました。
日本領海の範囲については、一九七七年の領海法制定に伴い、それまでの三カイリから十二カイリに変更されました。
日本政府はこれまで、「非核三原則」(核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず)に基づいて、表向きは、核兵器を装備した外国艦船の日本への寄港だけでなく領海内の航行も認めないとの立場をとってきました。
一方で、一九六〇年の日米安保条約改定の際、日米両政府が、核兵器を装備した米艦船や航空機の日本への立ち寄り、飛来を事前協議の対象外とし、核持ち込みを自由にできる密約を結んでいることが明らかになっています。
久間長官は十六日夜、CS放送の番組で、核兵器を装備した米潜水艦を念頭に「日本をかすめるような状態で潜水艦などが動くのは(核兵器の)持ち込みにはならない。(非核三原則の)『持ち込ませず』の概念の中でそこまでは読めるのではないか」と述べていました。
久間氏の一連の発言は、政府が建前にしている「非核三原則」に公然と風穴を開けようとする動きとして重大です。