2006年11月15日(水)「しんぶん赤旗」
麻生外相罷免拒否
任命責任問われる安倍首相
核武装の議論を容認する発言を繰り返す麻生太郎外相の罷免を野党四党が求めたのに対し、政府は罷免を拒否する回答をしました(十三日)。安倍内閣として、あくまで麻生外相の発言を擁護し続ける姿勢を示したもので、重大です。
塩崎恭久官房長官名の回答は、罷免要求を拒否した理由として「安倍内閣は非核三原則を堅持するという方針であり、麻生外務大臣も同方針の堅持を明確にしている」ことを挙げました。
逸脱明白■
こんなごまかしはありません。麻生外相が、非核三原則を「堅持」する姿勢を示していないからこそ、国内外からの批判を浴びているのです。
もともと非核三原則を堅持する姿勢が確固としていれば、麻生外相のいう「議論」の必要はありません。
麻生外相が求める議論のテーマは「どうして(核兵器を)持たないのか、どうして持つべきと思っているのか」(十月二十四日の参院外交防衛委員会)です。非核三原則を変更し、核武装することが選択肢に含まれることを当然視しています。
だから、「(非核三原則について)二十年後のことはだれも予想できない」(同二十七日の衆院外務委員会)という結論になるのです。
麻生外相の発言をみれば、非核三原則の「堅持」どころか、その見直しを容認するものにほかなりません。
首相容認■
こうした発言を繰り返す麻生外相を任命した安倍晋三首相の責任も厳しく問われます。
しかも、安倍首相は党首討論で「非核三原則は今後とも維持していく」といいながら、「安全保障の議論として、そういうこと(核武装)に触れたからといって、それが大問題であるかのごとく言うのは、おかしい」(八日)と述べ、麻生外相への批判に反論。「核をめぐる議論について、抑止はどうあるべきかという議論をすることはあり得る」として、核武装の議論を事実上、容認する立場を示しています。
非核三原則の見直しの議論を擁護しながら、「非核三原則は堅持する」。そんな理屈は、通用するものではありません。(田中一郎)

