2006年11月12日(日)「しんぶん赤旗」
日米共同演習を公開
海自が米空母護衛
鹿児島沖で艦載機離着
熱風と白煙を巻き起こし、爆音とともに飛び立つ戦闘機、水平線上に不気味なシルエットを浮かべる艦船の群れ…。九日に始まった在日米海軍と海上自衛隊との年次共同演習(ANNUALEX)のうち、米空母キティホークの艦載機離発着訓練が十日、報道陣に公開されました。
蒸気圧で戦闘機を飛ばす発艦装置(カタパルト)を使って、FA18スーパーホーネットなどが次々に発艦していきます。飛び立つまでの時間は二秒たらず。着艦時は機体後方部から着艦フックを出し、艦上のワイヤを引っ掛けて停止します。
キティホーク艦載機が常駐する米海軍厚木基地(神奈川県)周辺住民が日夜、爆音に苦しめられているのも、兵士がこの一連の技術を習得するためです。
同日、キティホークが展開していたのは鹿児島県の薩摩半島沖です。数十隻の参加艦船のうち、ほとんどが九州周辺や太平洋上に配置されています。南方からの侵攻を強く意識した布陣であることがうかがえます。
キティホーク打撃群のマックレイン司令官は「現時点で行っているのは九州防衛を想定した訓練だ」と明らかにしました。北朝鮮情勢との関連については、「演習は数カ月前から準備されており、核実験後に加わったシナリオはない」としつつ、「不審船舶への乗船訓練は以前から行っている」と述べました。
甲板から洋上を見渡すと、前後左右すべてに艦船が配置されていました。マックレイン司令官によると、キティホークは演習の全期間を通じて「高価値部隊」(HVU)に位置付けられ、日米の護衛艦が二重の円を描いて防護する陣形を取っているといいます。
同演習は毎年秋に日本近海で行われており、米海軍・海自の共同演習では最大規模です。(竹下岳)

