2006年11月12日(日)「しんぶん赤旗」
米国連大使
ボルトン氏続投困難
中間選うけ 与党からも反発
【ワシントン=鎌塚由美】第二期ブッシュ政権で国連大使を務めるジョン・ボルトン氏の大使続行が困難な見通しとなりました。ブッシュ政権のタカ派、ラムズフェルド国防長官に続き、ネオコン(新保守主義)代表格のボルトン氏も同政権を去ることになりそうです。
ボルトン国連大使の任期は、二〇〇七年一月まで。昨年八月、ブッシュ大統領は議会の承認なしで期限付きで任命していました。ブッシュ政権は九日、来年からの次期議会で民主党が多数派となる中間選挙の結果を受け、共和党多数派の現議会で今年中にボルトン氏の承認を取り付けようと、議会上院に承認を求めました。
これに対し、外交委員会メンバーのロードアイランド州選出(共和党)のチェイフィー議員が反対を表明しました。国連大使の承認には、まず上院外交委員会で過半数の賛成が必要ですが、同氏の反対表明で、承認困難が決定的になりました。
反対を表明したチェイフィー氏は、イラク戦争を批判し、〇四年の大統領選挙ではブッシュ大統領不支持を表明していた同党のリベラル・穏健派でしたが、有権者の反ブッシュ機運のあおりを受け中間選挙で落選しました。ただ任期は今年末まであります。
チェイフィー氏は八日、「米国民はブッシュ大統領のいくつかの課題に対して反対の声をあげた。外交政策もその一つだろう。米国民が反対を表明したものを私は承認しない」と述べ、ボルトン氏承認に反対すると言明しました。
次期議会で上院外交委員長となる予定の民主党のバイデン議員は、ボルトン氏承認については、共和党が多数派の現在の「上院本会議でも承認される見通しはない」とし、「外交委員会で承認を再考する余地はない」と語っています。
ボルトン氏の新たな承認をめぐっては、前回難色を示した共和党議員に変化が生まれ、承認に賛成すると表明し始めた議員(ボイノビッチ氏)もいました。しかし、中間選挙の審判がボルトン氏の承認を阻止するかたちとなりました。
昨年三月にブッシュ大統領がボルトン大使を指名して以後、承認は難航。同氏の「国連本部ビルの十階(事務総長執務室など幹部の部屋)がなくなったとしても何ら困ることはない」などの国連軽視発言が民主党議員から厳しく問題視されただけでなく、共和党議員からも懸念の声が上がりました。ブッシュ大統領は、議会の休会中に空席人事を穴埋めすることを想定して設けられた「休会中任命」という緊急措置で、ボルトン氏の任命を強行していました。

