2006年11月10日(金)「しんぶん赤旗」

牛丼「すき家」に労組

バイト青年 解雇撤回させる


 外食産業大手のゼンショー(小川賢太郎社長、東証一部上場)が経営する牛丼チェーン店「すき家」で働く二十代のアルバイト青年六人が、労働組合「すき家ユニオン」を結成しました。今年七月に「店舗のリニューアル(改装)」を理由に解雇されたのがきっかけです。

 東京・渋谷の店で働いていた六人は、突然、解雇を通告されました。使い捨て同様の扱いに黙っていられないと、首都圏青年ユニオン(伊藤和巳委員長)に相談し、加入。団体交渉の結果、九月末に全員の解雇撤回と職場復帰を実現しました。さらに過去二年間の未払い割増分賃金と解雇中の休業手当として、総額百五十三万円余を支払わせました。違法な残業代の支払い方法を労働基準法通りに改めさせています。

 六人は二カ月ごとの雇用契約を自動更新され二―五年働いてきました。労働時間は通常の正社員なみです。うち五人が「すき家」のアルバイト収入で自活しており、解雇は即、生活の困難をもたらします。店舗に社員は常駐せず、店を切り回してきたのはアルバイトの彼らでした。

 厚生労働省内で九日、首都圏青年ユニオンが記者会見し、「すき家」ユニオンから二人が出席。「泣き寝入りはやめようと立ち上がった」という男性(24)は「仕事を奪われ悔しかったが、解雇撤回できて非常に満足。会社は法律を守っていないところが多いので、ユニオンができて役に立つと思う」と語りました。

 首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「よりよい職場環境、法による最低限の労働条件が守られる職場をつくるため、『すき家』に働く正規・非正規すべての従業員を対象に組織化をすすめたい」とのべました。また、会社は手続きに不備があったとして解雇を撤回しましたが、店舗改装(閉店期間は数日)による解雇は「問題ない」との立場を変えていないと指摘。「『すき家』で働く五千九百人のアルバイト雇用を安定させるため、不当な解雇をやめさせたい。加入をよびかけ、違法な残業代割増部分の未払いを過去二年分求めていく」としています。

迅速な対応労組の力で

 青年雇用問題に詳しい笹山尚人弁護士の話 企業から人件費削減のため「代わりは誰でもいる」と、軽視されやすい立場におかれているアルバイトの人たちが職場に戻れたことは、正社員の場合以上に意義があるといえます。迅速な対応ができる労働組合の社会的な力がないと、職場復帰は無理だったでしょう。ほんとうに労組らしいとりくみができたと思います。


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