2006年11月10日(金)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪

「やらせ」・未履修・いじめ―3つの問題

法案提出者の資格問われる

すみやかに資料提出を

志位委員長が会見


 日本共産党の志位和夫委員長は九日、国会内で記者会見し、焦点の教育基本法改悪法案の審議のあり方について、次のようにのべました。


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=9日、国会内

 一、与党は教育基本法改定法案の早期採決を主張しているが、言語道断である。

 いま重大なことは、政府・文部科学省に、教育基本法という教育の根本法の改定法案提出者としての最低限の資格が問われる一連の問題が提起されていることである。

 日本共産党は、つぎの三つの問題で、政府・文科省が、審議に必要な調査をおこない、国会に資料を提出することを要求する。そのうえで、国民の前で徹底審議をおこなうことを強く求めるものである。

 一、第一は、「やらせ質問」にかかわる全容を調査・報告することである。内閣府は七日の調査結果報告で、政府主催のタウンミーティングで「やらせ質問」がおこなわれた事実を認めた。さらに本日、内閣府が提出した追加報告で、少なくとも岐阜県、愛媛県、和歌山県、大分県の四会場で「やらせ質問」がおこなわれていた事実が明らかになった。

 「やらせ質問」によって、政府が教育基本法改定の世論を誘導していたという事実は、教育基本法改定案を提出する資格そのものが、きびしく問われる問題であり、その真相と責任の徹底的な究明が不可欠である。

 内閣府の報告で、八戸市での開催自体が文科省の依頼によるものであったこと、「やらせ質問」を提起したのも、その質問案を作成したのも文科省であったことが明らかになった。その他の会場でも、文科省が主導して「やらせ質問」がおこなわれていたことが明らかになった。主犯・文科省、実行犯・内閣府という共犯の構図がくっきりと浮かびあがった。

 ところが提出された報告書では、一連の経過に文科省のだれが関与し、その関与がだれの責任と指示でおこなわれたのかという基本的事実さえ明らかにされず、文科省の責任と反省については一言の言及もない。

 政府が、すみやかに文科省の関与にかかわる事実調査をおこない、その結果を報告するとともに、文科省の責任と反省を明らかにすることを求める。

 一、第二は、未履修問題についての文科省の責任を明らかにすることである。文科省は「事実を知らなかった」「黙認していたわけではない」としている。しかし、わが党の追及で、過去六年間(二〇〇〇年一月一日―〇六年一月一日)に百四十人の官僚が文科省から都道府県教育委員会等に出向し、本省に帰るなど、文科省と教育委員会の間で頻繁な「人事交流」があったことがあきらかになった。県教委の高校教育課長に出向し、現在本省の初等中等教育局教育課程課長補佐を務めている事例など、未履修問題に直結する異動もある。文科省が未履修問題の存在を知りうる立場にあったことはあきらかである。

 さらに、文科省の「教育改革の推進のための総合的調査研究委託事業」としておこなわれた大学生を対象にした調査で16%の学生が「世界史未履修」と回答し、その報告書がすでに〇二年に文科省に提出されていた事実もあきらかになった。

 文科省が、未履修問題についてほんとうに「事実を知らなかった」、「黙認していたわけではなかった」というのなら、出向先での活動の全体について、事実関係を明らかにすることが不可欠である。さらに、四年前の報告書がなぜ不問にふされたのかについても、明らかにすべきである。そのために必要な資料の提出を要求する。

 一、第三は、いじめ自殺問題についての実態である。文科省の七年間にわたってゼロ件という報告さえ、いまだに再調査されていない。この七年間で十六件のいじめ自殺があったという報道もあり、文科省の報告が実態を反映したものではないことはあきらかである。いじめ自殺という痛ましい、教育の場で、絶対にあってはならない事態を二度と引き起こさないためにも、ただちに再調査をおこない、国会に資料を提出することを求める。


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