2006年11月9日(木)「しんぶん赤旗」

沖縄知事選

新基地計画問われる態度

糸数さん 反対明快に主張

自公陣営 一貫した容認派


 沖縄県知事選(十九日投開票)は、名護市辺野古沿岸に計画されている米軍新基地建設を許すかどうかが問われている大事な選挙です。政権党である自民・公明推薦の仲井真弘多氏が、この新基地建設について「現行のV字形案には賛成できません」(同陣営の「県民の会」ビラ)と表明しています。しかし、仲井真氏の現在と過去の言動をふりかえれば、現職知事に輪をかけた新基地容認派であることは明らかです。(前田泰孝)


 仲井真氏は、七日夜のNHK番組で米海兵隊普天間基地の移設問題について聞かれ、「国外に代替施設をつくるまで放っておくのか。日米協議委員会のリポートを見ても、マリーン(海兵隊)の運営上どうしても近場にないといかんという趣旨の記述がある。県外は難しいという結論だ。そう考えると、やはり名護市の施設は大きな選択肢の一つ」だと語っています。

 また「ベストは県外移設だが直ちに県外で(移設先を)見つけ難いものは県内移設もやむを得ない。そういうことはあり得る」(琉球新報十月三十一日付)と述べています。

 このように米軍、海兵隊の立場に寄り添い、国いいなりで「県内移設」=県内たらいまわし・固定化を容認しているのが、仲井真氏です。

 米空軍嘉手納基地に「ミサイル防衛」のためとして、最新鋭のパトリオットミサイルが配備されましたが、これについても、仲井真氏は「反対というより、もうあれは運び込まれたんですよね」(十月三十日の記者会見)と、既成事実だから仕方がないと抗議の意思すらありません。

どこかで手打ち

 もともと、仲井真氏は根っからの基地容認派です。昨年、現職の稲嶺恵一知事が県民世論に押されて、新基地建設案(辺野古沿岸案)を拒む姿勢を見せたことがありました。

 その時、仲井真氏(当時、沖縄県商工会議所連合会会長)は「日本政府と事を構えるようなことはないようにしてほしい。(知事の態度は)理解に苦しむ面がないわけではない」と、政府との関係悪化を心配して知事に注文をつけました。

 そして、今年五月に稲嶺知事が県民の願いを裏切って、政府とV字形新基地建設容認の「基本確認書」を交わした時には、仲井真氏は「移設問題の進展が現実的に図られるものと期待し評価する」と談話を発表し現知事の態度を称賛しました。

 新基地建設には七割以上の県民が反対しています(琉球新報四月十四日付)。その県民世論に押されて、現知事が政府案を拒んだ時には「政府と事を構えるな」と足を引っ張り、逆に、政府案容認に転じた時には「期待し評価する」と激励する。仲井真氏は、一貫した基地容認派なのです。

 だからこそ仲井真氏は「政府とけんかもするが、どこかで手打ちをせざるを得ない。どうしても最適な選択がある」(支持母体の青年部の集いで)と、新基地建設受け入れの本音を語るのです。

 このような人物に、長年、安全・安心を脅かされ、基地被害に苦しんで来た沖縄県民の願いを託すことはできません。

「撤去させよう」

 日本共産党など野党五党が推薦する糸数けいこさんは「ジュゴン(海獣)のすむすばらしい沖縄の島に、五十年百年先の子や孫の時代まで基地の重圧を担わせていいのでしょうか。辺野古沿岸V字形案をはじめ、すべての新基地建設に反対します。普天間基地など県内の基地は即時返還し、撤去させましょう」と明快に主張しています。


V字形滑走路を備えた新基地計画

 米軍再編計画の一環として、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの沿岸にV字形の二本の滑走路(千八百メートル)を含む最新鋭の基地をつくる計画。普天間基地の代替を名目に、日米両政府が合意し、ことし五月の米軍再編最終報告に盛り込まれました。

 政府は、住宅地上空を飛ばないことを保障するためとして、離陸・着陸用二本の滑走路をV字形につくるとしましたが、米側は両方の滑走路の両側にそれぞれ四つの「進入灯」をつけることを要求していることがわかりました。米軍は住宅地上空を含むどこからでも、着陸できることを狙っています。


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