2006年11月1日(水)「しんぶん赤旗」

6カ国協議再開合意

平和的・外交的努力での解決へ日本共産党がとってきた態度


 近く再開されることになった北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議―。背景には、北朝鮮の核実験強行に対し、国連安保理制裁決議の全会一致採択など、国際社会が一致結束した対応と平和的・外交的な解決を追求したことがあります。それは、日本共産党がこの間、一貫して求めてきた立場でした。

2つの原則強調

 北朝鮮が十月九日に核実験強行の声明を出したのを受け、志位和夫委員長は直ちに記者会見し、厳しく抗議する談話を発表。その中で、北朝鮮に対し核兵器と核兵器開発計画を放棄し、即時・無条件で六カ国協議に復帰することを強く求めました。同時に(1)国際社会が一致協力して対応する(2)問題の平和的・外交的解決という立場を堅持してのぞむ―という二つの原則を強調しました。

 十日の衆院予算委員会では、笠井亮議員が国際社会がとるべき二つの原則についてただし、安倍晋三首相は「そうした考え方においては、共産党と同じ考えだ」と答弁しました。翌十一日の参院予算委員会では井上哲士議員が軍事力による対応では最悪の事態になると追及。首相は「軍事衝突は誰も望んでいない。そうならないように全力を挙げなければならない」と答えました。

 また十日の衆院本会議と十一日の参院本会議でそれぞれ核実験に抗議する決議が全会一致で採択されました。衆院では、自民、民主両党が国連憲章第七章(同章四二条には軍事制裁を規定)に基づく措置を入れた決議案を提示。これに対し日本共産党の穀田恵二国対委員長が二つの原則を貫くべきだと主張し、最終的には決議に「国際社会が結束した外交を展開し、平和的な解決を模索すべきである」との文言が盛り込まれました。

 十四日(日本時間十五日)には、国連安保理が異例の早さで北朝鮮の核実験に対する制裁決議を全会一致で採択します。

軍事対応論を批判

 決議は、北朝鮮に対し、さらなる核実験や弾道ミサイルの発射停止、無条件での六カ国協議への復帰、核兵器と核開発計画の放棄を要求するとともに、国連憲章第七章第四一条に基づく非軍事の経済制裁の措置をとることを決めました。

 同時に決議は、加盟国とりわけ六カ国協議の当事国に対し、「外交努力を強化し、緊張を悪化させるおそれのあるいかなる行動も差し控え」(外務省仮訳)ることを明記しました。

 志位委員長は談話を発表し、国際社会が一致協力し、平和的・外交的に問題の解決を図ることを求めてきた日本共産党の立場から、非軍事的措置によって事態の解決を目指す国連安保理決議が全会一致で採択されたことを歓迎。北朝鮮が同決議の要求を速やかに受け入れることを強く要求しました。

 一方で、政府・自民党や民主党の一部からは、軍事対応論が持ち上がりました。その一つが、安保理決議に「貨物検査」の項目があることを根拠に周辺事態法を発動して対応すべきだという議論です。

 これに対し志位委員長はCS放送の番組(十七日)で、周辺事態法とは米軍と自衛隊が海外で軍事的な共同をするという枠組みにほかならず、実際に戦闘を行う米軍に自衛隊が兵たん支援をするものだと指摘。国連安保理決議は非軍事で平和的・外交的に問題を解決するというのが趣旨であるのに、周辺事態法を発動するというのは同決議に真っ向から反すると批判しました。

 国際社会では、問題の平和的解決のため各国のさまざまな外交的努力が展開されました。米国のライス国務長官も「米国はこの危機をエスカレートさせるつもりはない」「(『貨物検査』について)臨検や海上封鎖を想像している人たちもいるようだが、それは(国連安保理)決議の狙いではない」と強調。日本で持ち上がった軍事対応論の異常さを示すことになりました。


北朝鮮核実験をめぐる動きと日本共産党の対応

10・9 北朝鮮が地下核実験実施を発表

  日本共産党の志位和夫委員長が談話を発表し、北朝鮮の暴挙に抗議するとともに、「国際社会の一致した対応」と「問題の平和的・外交的解決」という2つの原則が重要と強調。

 10 衆議院が北朝鮮の核実験に抗議する決議を全会一致で採択。日本共産党の穀田恵二国対委員長が「2つの原則」を主張し、決議に「国際社会が結束した外交を展開し、平和的な解決を模索すべきである」との文言が明記される。

  衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員が国際社会がなすべき対応の原則についてただし、安倍首相が「考え方においては共産党と同じ考えだ」と答弁。

 11 参院予算委員会で日本共産党の井上哲士議員が「軍事対応では最悪の事態になる」と指摘。安倍首相が「そうならないよう全力をあげる」と答弁。

 12 政府・与党内に「周辺事態」と認定し、米軍支援を可能にすべきとの議論が浮上。志位委員長が記者会見で「周辺事態と認定するのは暴論だ」と批判。

 13 安倍首相、北朝鮮船舶の検査について「総合的に検討する」と答弁。シーファー駐日米大使が米軍支援に期待表明。自民党内で臨検のための特措法制定論が浮上。

 14 国連安保理で北朝鮮に非軍事的な制裁措置を求める決議を全会一致で採択(日本時間15日未明)。志位委員長が「歓迎する」との談話を発表。

 15 自民党の中川昭一政調会長が日本の核保有に関して「議論は大いにしないと」と発言。

 16 日本共産党の市田忠義書記局長が中川発言について「絶対に許すことのできない発言」と批判。

 17 志位委員長がCS放送で「周辺事態法を発動するのは、安保理決議に真っ向から反している」と批判。

 19 中国の唐家セン国務委員が北朝鮮を訪問し、金正日総書記と会談

  同 志位委員長が麻生外相まで核武装について「議論は大事だ」とのべたことを批判し、「外相の資格にかかわる問題」として撤回を要求。

 20 中国の胡錦濤国家主席らがライス米国務長官と会談。平和的に解決し6カ国協議早期開催で一致。


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