2006年10月31日(火)「しんぶん赤旗」

主張

障害者自立支援法

一から見直し応益負担撤回を


 障害者のサービス利用に原則一割負担の応益負担を導入する「障害者自立支援法」が施行されて半年がたちました。障害者団体や自治体の調査で、大幅な利用者負担増や、サービス利用の手控え、施設からの退所の実態が次々と明らかになっています。施設への報酬も激減し、経営の存続が危ぶまれる事態に直面しています。応益負担の撤回、障害者自立支援法の抜本的見直しは急務です。

低所得者ほど利用抑制

 NPO法人大阪障害者センターが今年七―九月に行った全国調査によると五割以上の人が月一万円以上の負担増を強いられています。生計中心者の年収が八十万円に満たない低所得層でも、負担増が一万―三万円の人が三割を超えています。サービス利用や通院を減らす傾向は、低所得者ほど強くなっています。障害が重い人ほど負担が重くのしかかる「応益負担」制度の問題点が改めて浮き彫りになりました。同調査では、障害者世帯の86%が、原則一割負担の「利用料制度」の見直しを求めています。

 自治体も独自の軽減策をとるところが増えています。マスメディアの調査では、全都道府県と政令都市など主要都市、特別区のうち、約四割が、独自の軽減策を実施または導入を決めています(「朝日」九月二十五日付)。

 自治体独自の軽減策の広がりは、障害者の運動の反映であると同時に、応益負担による負担増と矛盾の根深さを示すものです。

 十月からは、新たに補装具、障害児施設にも応益負担が導入され、地域生活支援事業もはじまりました。国の補助金抑制のもとでサービスの後退や市町村格差のいっそうの拡大が懸念されています。

 地域生活支援事業では、自治体によって、障害者の外出を援助する移動支援事業からの撤退を表明する事業者が生まれるなど、新たな事態も生まれています。

 障害者自立支援法は、「障害者が地域で安心して暮らせる社会に」との趣旨で成立させられたものです。しかし現実にはこれに反する事態が起きています。自立支援どころか逆に、“自立阻害法”であることが改めて明らかになりました。

 政府はこれまで、日本共産党の質問に首相が国としての実態調査を約束してきました。

 二十五日の衆院厚生労働委員会では、高橋千鶴子議員の質問に、柳沢厚生労働相が、「これからいろいろ調査をして、見直すところは見直しをする」と答えました。安倍政権に“調査の上での見直し”を約束させたことは貴重です。

 障害者・家族、関係者は、自民党、公明党が一年前に国民の強い反対を押し切って障害者自立支援法を成立させたあとも、新たな怒りを燃やして、運動を広げてきました。障害者自立支援法の見直しを、法に明記された三年後を待たず速やかに行うよう、政府に求めてきました。

 法成立一年となる十月三十一日に開催する「出直してよ!『障害者自立支援法』10・31大フォーラム」(正午から、東京・日比谷野外音楽堂など)の成功めざして、障害者団体は奮闘しています。

世論と運動さらに

 障害者自立支援法は、小泉「構造改革」の弱肉強食路線と社会保障予算削減策を象徴するものです。

 日本共産党は、応益負担の撤回をはじめ障害者自立支援法の抜本的見直しを早急に実現するため、障害者・家族、関係者の運動と連帯し、さらに力を尽くします。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp