2006年10月30日(月)「しんぶん赤旗」

「核論議」発言 河野談話見直し

首相は「問題ない」で済むか


 安倍政権の閣僚、与党幹部らから、「核保有」論議を容認したり、「従軍慰安婦」問題で旧日本軍の関与を認めた河野官房長官談話の見直しなど、従来の政府見解をくつがえす重大発言がとまりません。これらをただそうとしない安倍晋三首相の姿勢が問われています。

 「核保有」問題では、麻生太郎外相が十九日以来、「言論封殺に加担するつもりはない」との発言を繰り返し、二十七日には非核三原則の堅持について「二十年後のことはだれも分からない」とまでのべました。発端をつくった中川昭一・自民党政調会長も「(核保有の)議論は大いにしないと(いけない)」「憲法でも核保有は禁じていない」との発言について、二十六日発売の週刊誌のインタビューで「撤回しません」と断言しています。

 これに対し、安倍首相は「非核三原則は堅持する。政府内で(核保有を)議論することはない」とのべる一方、麻生発言について「議員個人が話すことは言論の自由だ」(十九日)と容認しています。

 もう一つは、下村博文官房副長官の発言。二十五日の講演で、河野談話について「客観的に科学的な知識をもっと収集して考えるべきだ」と再検討を示唆しました。安倍首相は「河野談話を受け継いでいるのが政府の基本的な立場だ」とのべつつ、「議員個人の責任で言っているのだから、問題ない」(二十六日)と不問にしました。

 しかし、政府の基本方針を否定する発言が出たならば、首相として放置できないはず。それを「議員個人の責任」だから「問題ない」などとするのは、政府の要職にある立場と議員個人の立場の使い分けを首相が許していることになります。

 「核保有」論議や、河野談話見直しは、安倍首相自身がかつて主張していたことです。マスメディアから「(麻生発言は)安倍晋三首相と役割分担して『北朝鮮への脅し』に狙いがあったと見るのも可能だ」(「毎日」二十三日付)、「下村氏の発言は…『首相が言えないことを代わりに言っている』との見方もある」(「読売」二十七日付)との指摘も出ています。

 ほんとうに、非核三原則を堅持し、河野談話も受け継ぐのなら、閣内不統一は許さない明快な対応をすることが必要です。(藤田 健)


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