2006年10月26日(木)「しんぶん赤旗」

国交省公益法人も偽装請負

国交相“法令違反は遺憾”

衆院委で穀田議員 「官から民」が助長


 国交省所管の公益法人が偽装請負・出向の疑いで厚労省の労働局から是正指導を受けた問題で、日本共産党の穀田恵二議員は二十五日の衆院国土交通委員会で、「問題のおおもとに『官から民へ』の方針で正規の公務員を減らし、外注化や民間委託を広げた問題がある」と追及しました。


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(写真)質問する穀田議員

 問題の公益法人は、国交省の出先機関である地方整備局から設計などの業務を請け負った建設弘済会。民間コンサルタント会社から受け入れた出向社員を同省の出先事務所で働かせたことが労働者派遣法違反(偽装請負)と職業安定法違反(偽装出向)だとして、是正指導されたものです。

 報道された例では、業務委託費は千五百万円なのに労働者には六百―七百万円しか支払われず、その差額を建設弘済会が五百万円、コンサルタント会社が三百―四百万円、それぞれピンはねしていました。(図)

 穀田氏は、民間大企業の偽装請負が社会問題化するなか、法令順守を指導徹底すべき行政機関が法令違反を犯して労働者に不利益をもたらしたことを「断じて許しがたい」と批判しました。冬柴鉄三国交相も「国の機関から指導を受けたことは誠に遺憾だ」と答弁しました。

 穀田氏は、正規の公務員が減らされたため建設弘済会職員の三人に二人が出向だと指摘。「事故が起きても責任を持って対応できず国民の安全、安心や公共事業の水準が確保できない。税金のムダ遣いもなくならず、働く労働者も不利益を受ける」と安易な民間委託をやめるよう求めました。

 冬柴国交相は「公務員純減で仕事が減らなければ、労働強化かサービス不足しかない」と認めつつ、「必要な仕事をするためには請負という形しかない」とのべました。

表

 建設弘済会(建設協会) 国土交通省の出先機関である各地方整備局に対応し設立された公益法人(全国で八つあり、そのうち東北、中部、近畿は名称が建設協会)。役員のほとんどが国交省の天下りで、地方整備局から道路工事などの設計や監督業務の補助を請け負っています。政府の公務員削減のもとで増える請負業務を民間会社からの「出向」でまかない、「偽装出向」と指摘されました。


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