2006年10月24日(火)「しんぶん赤旗」

日本の核武装論

韓国政府が深い憂慮

「朝鮮半島非核化に冷水」


 麻生太郎外相や中川昭一・自民党政調会長など日本の政府・与党の一角から出ている核武装論に、韓国で憂慮が高まっています。背景には、日本が北朝鮮の核実験に便乗して核武装に突き進むのではないかという警戒心があります。(中村圭吾)


 「日本が核武装をすると北東アジアの平和的構図が崩される。朝鮮半島の非核化が韓国の目標であり、周辺国もその趣旨に協力すべきだ」。二十三日、韓国外交通商省の柳明桓第一次官は日本人記者団との会見でこう述べました。

 韓国メディアは、韓国政府が日本の核武装に備えた対応を検討中だと報道。ハンギョレ紙十九日付は「韓国政府は、日本政府の(北朝鮮に対する)強硬論の背景に、日本自体の核武装を合理化するための動機が隠れているという疑心を抱いている」と指摘しました。

 与党・開かれたウリ党からも憂慮と批判の声があがっています。

 同党の金槿泰議長、金ハンギル院内代表は十九日、韓明淑首相らと北朝鮮への対応を協議した席で、日本の核武装論に言及。金院内代表は「日本の指導層の相次ぐ核武装関連発言に対し、深い憂慮とともに政府レベルでの立場の整理が必要だと強調した」といいます。

 一方、右派の長老政治家からは、「韓国も核開発を検討すべきだ」との発言も出ています。

 最大野党・ハンナラ党の李会昌・元総裁は十九日の講演で、「日本など周辺国が核開発に近づく兆しが表れた場合」核開発を検討すべきだと発言しました。

 韓国政府は、核兵器を保有せず、朝鮮半島非核化宣言など国際規範を順守するとした「核の平和利用四原則」を〇四年に発表し、自国の核兵器保有を否定しています。ただ、世論調査では七割が自国の核保有に賛成との結果も出ています。

 韓国でも台頭する核武装論について、韓国日報二十一日付社説は「こうした論議自体が、北朝鮮の核実験や日本の『核武装論』を非難する道徳的正当性を奪う」と批判しました。

 同日付のソウル新聞社説は、日韓の核武装論は「北朝鮮の核武装に抑止力を発揮するどころか、北朝鮮の核武装阻止のための国際社会の努力に冷水を浴びせる」と批判。「北東アジア地域に核軍備競争のドミノ現象を起こしてはならない」「核武装論ではなく、国際社会と足並みをそろえ、核武装阻止にむけた努力を強化する時だ」と訴えています。


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