2006年10月23日(月)「しんぶん赤旗」

学校公演 減少めぐり議論

日本共産党主催シンポ

公的支援の拡充急務、教員と協力して打開を


 「学校公演(鑑賞教室)の現状と今後を考える」シンポジウムが、日本共産党中央委員会の学術・文化委員会主催で、二十日午後七時から東京新宿区の新宿農協会館で開かれました。会には学校公演をおこなっている劇団やオーケストラ、学校関係者ら三十二団体、六十一人が参加しました。

 シンポジウムには元埼玉県立高校教員の真瀬信光さん、学校公演を長年おこなっている劇作家・演出家の瓜生正美さん、日本児童・青少年演劇劇団協同組合(児演協)代表理事の大野幸則さん、日本共産党参院議員の井上哲士さんがパネリストとして発言しました。司会は党学術・文化委員会の辻慎一事務局次長。

 真瀬さんは、埼玉県や北海道の例をあげて、学校公演の実施に地域格差があること、費用の生徒の負担が多く、学校の教職員の異常な多忙化のなかで公演数が減っている現実を紹介しました。

 瓜生さんは、学校公演が人間教育の側面をもっていることを指摘し、児童・生徒に飽きさせず観劇させるために劇団側に特別の努力がいる分野であることを創造の側の問題として提起しました。

 大野さんは、児演協がおこなった調査資料を提示しながら、九三年には年間千四十万人が観劇し、セ・リーグの年間観客に匹敵する規模であったが、今では激減している実態を紹介。費用の問題が大きく、教職員との共同の仕事をどうしていくかが課題になっているとのべました。

 井上参院議員は、学校公演が芸術・文化を享受する子どもの権利を保障していくうえで大きな役割を担っていると指摘。学校公演の障害として児童・生徒の費用負担が大きいが、国の助成が全体としてごく一部になっていること、地方自治体の助成も削られていることや、管理統制の強化が教員の多忙化を生んでいるとのべ、解決にむけて、学校公演の役割を語り、創造団体と教職員との連帯したとりくみを呼びかけました。

 討論のなかでは、「来年度からは補助がないことを前提に計画するようにいわれている」(長野)、「四十三年間高校演劇教室を実施しているが、行政は一切手をさしのべてくれない」(浜松)などの苦境が紹介され、公的助成の充実を求める意見や、現在の文化庁の施策への批判がありました。教員と対話できる場が必要、今の子どもをめぐる現実のなかで、教育における優先順位を上げていく必要があるなどの意見がだされました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp