2006年10月21日(土)「しんぶん赤旗」

北朝鮮核問題 局面打開へ米中連携

唐氏訪朝の結果踏まえ

軍事解決排除で一致


 中国の胡錦濤国家主席ら首脳は二十日、ライス米国務長官と相次いで会談しました。双方は、朝鮮半島の非核化実現へ向けて問題を平和的に解決し、北朝鮮に六カ国協議復帰を強く求めることで一致し、こうした姿勢を世界にアピールしました。北朝鮮の核問題解決のカギを握る米中両国が、問題の外交解決で一致したことは、国連安保理決議の実行で、軍事的解決を排するという点で重要な意義をもつ会談となりました。(小寺松雄)


 一連の会談は、前日の唐家セン国務委員と金正日・朝鮮労働党総書記との会談の内容を踏まえて行われました。唐・金両氏の会談をめぐっては次第にその内容が明らかになっています。金総書記が唐氏に対し二度目の核実験計画は明言しなかったと、北京外交筋が話したという報道もその一つです。また金総書記は、唐氏からの核実験中止などの説得を強く拒否することはなかった(複数の外交筋)といわれます。

 唐氏がライス長官に「訪朝は無駄ではなかった」と述べたというのも、このような内容を踏まえてのことと思われます。

 中国側は、こうした説得の一定の成果や外交努力を示して中米一致を確認し、情勢悪化につながる動きを抑え込み、六カ国協議再開への足がかりにする方針とみられます。

 李肇星外相はライス長官との共同会見で、米中両国が建設的協力関係を強化していることを強調。北朝鮮問題で「関係各国が冷静さを保持し、慎重で責任ある態度で対話を堅持するよう希望する」と表明しました。

 一連の会談後、ライス長官は「中国の外交姿勢を評価する」と述べました。

 中国は北朝鮮の核実験実施表明(三日)以降、胡主席や唐氏が日中首脳会談(八日)をはじめ米国、ロシア、韓国、北朝鮮と六カ国協議の参加国すべての首脳と会談。北朝鮮に核実験中止と六カ国協議への復帰を求める外交を進めてきました。

 同時に中国は、安保理決議の履行についても「国際的義務を果たす」(李外相)と足を踏み出し、北朝鮮に対する措置をとり始めていました。四つの大手銀行が北朝鮮への銀行送金を停止しました。北京から平壌への航空便を今月末で中止すると発表、原油供給も減らす準備をしているとされます。

 今回の一連の会談とその過程での中国の外交努力は、北朝鮮核問題の打開に重要な役割を果たすものとなりました。


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