2006年10月20日(金)「しんぶん赤旗」

平和解決へ中国外交

唐家セン氏、金総書記との会談で

厳しい姿勢を伝える


 【北京=菊池敏也】北朝鮮が再び核実験を行うとの報道が流れるなか、中国の胡錦濤中国共産党総書記・国家主席の特使として急きょ訪朝した唐家セン国務委員が十九日、北朝鮮トップの金正日朝鮮労働党総書記・国防委員長と直接会談したことで、北朝鮮の核問題は外交解決か第二の核実験による緊張激化かの重大な岐路を迎えました。


 北朝鮮の国営中央通信が同日、会談が「友好的な雰囲気の中でおこなわれた」と報じたことは注目されます。金総書記が唐氏との会談に応じたこと自体、安保理決議を「宣戦布告」と見なすとした強硬な態度を、中国との関係では話し合いで対応することを示したもので、今後の交渉を通じた平和解決の足がかりとなると期待されています。

 唐特使がこの時期に金総書記と会談して胡主席のメッセージを直接伝えたことは、情勢の悪化を阻止するための中国政府の並々ならぬ決意の表れとみられています。中国外務省の劉建超報道官によると、会談で双方は、中朝関係および朝鮮半島情勢について「深く突っ込んた意見交換」を行いました。

 唐氏が携えたメッセージの内容は明らかにされていませんが、自制を求める中国政府の必死の働きかけを無視して北朝鮮が核実験を実施したことに中国側は厳しい反応を示しています。胡主席は十七日、訪中した扇参議院議長にたいし「北朝鮮に国際社会の強烈な反応を知らしめる必要がある」と述べていました。

 会談で唐国務委員は金総書記にたいし、胡主席のこうした立場を伝え、新たな核実験の中止と六カ国協議への早期復帰を北朝鮮に強く促したとみられます。

 中国側が「深く突っ込んだ」会談だと明らかにしていることから、唐特使は、金総書記から直接、核実験の意図や六カ国協議復帰の可能性についての、今後に必要な判断材料を聞き出したものとみられます。

 二十日には歴訪中のライス米国務長官が北京を訪問し対応を協議することになっており、中国側は金総書記との会談内容を米側にも伝えるものとみられます。

 唐国務委員は、北朝鮮の核実験直後、胡主席の特使として米国とロシアを歴訪し、核実験問題での対応を協議してきました。


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