2006年10月19日(木)「しんぶん赤旗」

米国務長官 4カ国歴訪

北朝鮮制裁 統一的対応が課題

平和・外交解決へ協議


 国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議を受けて、同国の核問題をめぐる六カ国協議に参加する日米中韓ロの五カ国が対応の調整に動きだしました。平和的、外交的解決に向けてどのような統一的対応を具体化するかが課題です。


 最初の訪問国である日本を訪問したライス米国務長官は十八日、麻生外相らと会談。中国、韓国、ロシアを相次ぎ訪問し決議履行にむけた対応を協議します。

 安保理決議は、北朝鮮に六カ国協議への無条件復帰を迫るとともに、「外交努力を強め、緊張を激化させる可能性があるいかなる行動も慎む」よう求めています。同時に、大量破壊兵器の移転を防止するため、北朝鮮を出入りする「貨物の検査」など非軍事的措置をとるよう加盟国に要請しています。

 ライス長官は十六日、「北東アジアの友好・同盟国から、包括的な戦略について支持をとりまとめること」が目的だと述べ、地域の戦略的関係の強化、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)の協力拡大、六カ国協議再開などの課題をあげました。

 同長官は十七日、決議に盛られた「貨物の検査」について、PSIに準拠して行う考えを示唆。「各国当局は、できることをすべて行わなければならない」と述べました。

 PSIが想定する公海上での船舶検査に対し、中韓両国には武力衝突に発展するとの強い懸念があります。中国は決議に盛られた「貨物の検査」について、陸上輸送などに限る方針です。米中、米韓協議でも議論されるとみられます。

 日本で台頭する核武装論についても米政府内に懸念があり、ライス長官は「状況改善に、どのように役立つかわからない」(十七日)と発言。「日本と韓国に対する米国の防衛責任を確認することが重要だ」と述べました。

 同長官は十九日、ソウルでの日米韓三カ国外相会談に臨むほか、盧武鉉大統領と会談します。ミサイル防衛(MD)への参加、PSIへの参加拡大を求めるとみられています。

 韓国政府は、国連決議を受けて、南北経済協力事業の見直しを検討中。六カ国協議の米首席代表を務めるヒル国務次官補は、開城工業団地については「長期的な北朝鮮の人的資源開発に寄与する」と評価する一方、金剛山観光事業については「北朝鮮当局に金銭を提供しているようなものだ」と批判しています。

 ライス長官は二十日には中国で李肇星外相と会談。「米中関係と朝鮮半島情勢など両国が関心を持つ重大な国際的・地域的問題」(中国外務省)を議論します。

 スノー米大統領報道官は十七日、「米国と中国はこれまでにないほど緊密に協力している」と指摘。「朝鮮半島の安全確保に向け、両国の関係は、戦略的パートナーとしてより密接になるだろう」と述べました。


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