2006年10月19日(木)「しんぶん赤旗」

主張

安保理決議の履行

憲法をふまえた平和的役割を


 北朝鮮の核実験にたいし、国連安全保障理事会の決議は軍事的措置ではなく非軍事的措置で平和的・外交的に事態の解決をはかる立場を鮮明にしました。日本は戦争を禁止し平和の原則にたつことを明記した憲法をもつ国として、決議の立場で非軍事的措置を貫くべきです。

 ところが政府は、この決議を受けたものとして、「周辺事態法」の適用や新たな特別措置法を制定し、自衛隊が米軍とともに北朝鮮を出入りする船舶の貨物検査を実施する方途を検討しています。決議を踏み台に日米一体の軍事対応をめざすのは決議そのものにも反することです。

非軍事措置の追求

 安保理決議が北朝鮮にたいする制裁措置を非軍事的なものに限定する立場にたっていることは、国連憲章四一条の経済制裁に限定し四二条の軍事制裁を排除したことや、追加的措置が必要な場合は新たな決定が必要と明記したこと、六カ国協議の当事国に「外交努力を強め緊張を激化させる可能性があるいかなる行動も慎(む)」よう求めたことなどからあきらかです。日本も経済制裁を厳格に実施し武力衝突の危険に発展させないようにすることが求められています。

 日本は憲法で軍事的措置はとれませんが、非軍事措置のなかでやるべきことはたくさんあります。決議が加盟国に義務付けた兵器・装備や核関連品目などの北朝鮮から、あるいは北朝鮮への移転防止措置を各国が徹底するよう外交的に働きかけることや、海外で運用している日本国籍船舶に決議を厳守するよう指導を徹底する、あるいは制裁品目の日本からの輸出禁止を徹底することなどは憲法の枠内でできる措置です。

 安保理決議がもりこんだ「積荷検査」の記述も非軍事に限定した抑制的なものとなっています。決議が、加盟国に船舶検査を義務付けず「要請」にとどめていること、「必要に応じて」「自国の権限と法律に従い」「国際法にそって」と書いていることでもあきらかです。

 今回の安保理決議を根拠に、軍艦を動員しての強制的な臨検などの軍事対応をもちだすのは安保理決議の精神に反しています。日本政府が「周辺事態法」という日米が海外で軍事的共同行動をおこす法律を発動し、軍事力による「船舶検査」にふみだそうとするのは許されません。

 もともと「周辺事態法」は、日本の「周辺」地域での有事=戦時が前提になった法律です。朝鮮半島で戦争が起きて日本に攻め込もうとしているわけでもないのに、「周辺事態」と認定するのは無理があります。日本が「周辺事態法」を持ち出せばこの地域の緊張を激化させることは明らかで、それこそ国連安保理決議の趣旨に反することになります。

 大事なことは平和解決に徹することであって、緊張を激化させることではありません。安倍首相も「軍事衝突にならないように全力をあげなければならない」と答弁しています(日本共産党の井上哲士議員に)。日本側から緊張を激化させるような戦争法発動の検討をやめるべきです。

一致結束した対応を

 北朝鮮の核実験に厳しく抗議し、平和的・外交的手段で解決することを基本にすえた安保理決議の方向で国際社会が一致団結することが平和解決を可能にする唯一の道です。一部の国が軍事力で対処するといった行動は国際社会の団結を乱すもとです。国際社会と一致結束して、平和的・外交的な解決をめざすことこそ日本がとるべき道です。


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