2006年10月17日(火)「しんぶん赤旗」

北朝鮮制裁決議

平和解決が第一原則

韓国政府 各国と協調し履行


 国連安保理が北朝鮮制裁決議を採択したことを受け、韓国の韓明淑首相は十五日、「北朝鮮の核実験は決して容認できない挑発行為」と非難し、「国連安保理決議案を順守していく」と言明、今後の対策は「平和優先と経済安定を第一原則にする」との立場を表明しました。


 与党・開かれたウリ党の金槿泰議長ら党指導部は十六日、李鍾?・統一相、尹光雄・国防相ら政府の関係閣僚を交え対策会議を開催。ウリ党広報室によると、会議出席者は「安保理決議は中国、ロシア、米国、日本の間で意見の調整を通じ、軍事的制裁が排除され、国際社会の統一された措置が実行できる国際的合意が成立した」として、決議を歓迎、支持することを確認しました。

 金議長は「国際社会が平和の旗を選んだことは幸いだ」と述べ、「国際社会が合意した内容を遅滞なく推進する一方で、本格的に北朝鮮の核廃棄のプロセスに着手すべきだ」と強調しました。

 政府側は「核兵器と直接関係ない平和的な南北交流・協力は引き続き推進する」とし、「国際社会と調整しながら、国内の意見も取りまとめ、必要な措置を取っていく」との立場を表明しました。

 また、会議では「圧力と対話を並行させ、北朝鮮が自ら核を放棄するよう促す」との方針を確認しました。会議後に会見したウリ党の禹相虎スポークスマンは、「武力を使って大量破壊兵器を破棄させようという方法は、イラクやアフガニスタンをみても戦争につながる」と強調しました。

 会議で金議長は、安保理決議で注目されている貨物の検査に関し、米国主導で船舶の強制的な貨物検査を進めようとする大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への韓国の参加は、現在のオブザーバーのレベルを維持すべきだと主張しました。

 PSIへの参加をめぐっては、十四日に韓首相がウリ党指導部と意見を交換しましたが、結論が出ませんでした。ウリ党広報室は同日、「朝鮮半島での武力衝突の口実をつくってはならないというのが与党の立場であり、政府は国際社会との協調のなかで問題を解決できると強調した」と述べています。

 一方、野党第一党のハンナラ党は十六日に幹部会議を開き、対北朝鮮政策を論議。金炯?・院内代表は会議で、「北朝鮮に韓国の現金が流れ込む通路である金剛山観光と開城工業団地事業は無条件でいったん中止することが国連決議に賛同することだ」と主張しました。

世界的規模で核兵器廃絶を

韓国議員

 韓国の野党・民主党の李承姫・国会議員は十五日、国連安保理が北朝鮮制裁決議を採択したことを受け、北朝鮮に核兵器の廃棄を求めるとともに、世界規模での核兵器廃絶を呼び掛けました。

 李議員は報道機関向けの文書で、核兵器の殺傷範囲は「民間人と軍人を区別しない」と指摘、「核兵器保有を試みること自体が反人類的な犯罪行為だ。核兵器を保有している国々も、できるだけ早期に核兵器を解体すべきだ」と訴えています。

 また、北朝鮮の金正日政権は韓国をはじめ各国の説得に耳を貸そうとしないと批判し、「朝鮮半島を核の人質にして利益を得るための恐喝行為に対し、韓国国民は容認しないという国民的意思を強く表明すること」が必要だと強調しました。

中国が冷静対応要求

米は中国の責務を強調

 国連安保理の対北朝鮮制裁決議を受けた対応をめぐり、中国外務省の劉建超報道局長は十五日、関係国に「慎重かつ責任ある態度をとる」よう求める声明を発表しました。声明は、各国に情勢の悪化を共同で防ぐよう呼びかけ、冷静に対応するよう求めています。

 声明は「安保理の行動は国際社会の断固たる立場を表明したものでなければならない」としたうえで、「対話と協議を通じた問題の平和的解決のために有利な条件をつくり出す必要がある」と強調。関係国に六カ国協議再開に向けて努力するよう求めています。

 中国は、決議をめぐる安保理協議のなかで、北朝鮮の制裁が目的ではなく、平和的解決の手段とすべきだと主張してきました。決議が各国に要請するとした「貨物の検査」についても、「中国は、貨物の検査を認めず、留保する」(王光亜・国連大使)と表明。各国に「緊張を高めかねないような挑発的手段をとらない」よう求めました。

 一方、ライス米国務長官は十五日、FOXテレビのインタビューに答え、「中国が責務を果たすことを確信している」と述べ、同時に、「臨検が地域の緊張を高めないような形で実施されるのか懸念があるのはわかる」と述べ、中国側の懸念に配慮しました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp