2006年10月13日(金)「しんぶん赤旗」

カーター米元大統領・国連総長ら

米と北朝鮮の対話要求


 【ワシントン=山崎伸治】北朝鮮が核実験を実施したとの発表をめぐり、米国ではブッシュ政権に対し、北朝鮮との直接対話を含む、話し合いによる問題解決を求める声が出ています。


 一九九四年のいわゆる「朝鮮半島危機」の回避で役割を果たしたジミー・カーター元大統領は十一日付のニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、米政府に対し「信頼できる特使」を北朝鮮に派遣するよう主張しています。

 九四年の体験を振り返ったうえで、国際社会は「軍事力による脅迫と禁輸の強化で核開発計画を放棄させる」か、「(昨年)九月の(六カ国協議の)非核化合意の実現に努力する」かの「難しい選択」に迫られると指摘。「米政府が直接対話はしないと言明しながらでも、信頼できる特使による秘密の話し合いでうまく切り抜けられる」として、特使にジェームズ・ベーカー元国務長官の名前を挙げています。

 ベーカー氏は八日放送のABCテレビの討論番組で北朝鮮の核実験に関連し、「対話を友人だけに限ることはない。敵と話すことは融和ではない」と述べ、北朝鮮との対話を求めていました。

 第一期ブッシュ政権で朝鮮半島和平担当特使を務めたジャック・プリチャード氏は十日放送のPBSテレビのニュース番組で、北朝鮮にこれ以上の核兵器開発を許さないための方策の一つとして「二国間対話」をあげました。

 六カ国協議の枠組みを評価したうえで、「北朝鮮とは六カ国協議のついでに、全体会合の最中などに話ができるという考え方はうまくいかない」と指摘。「継続的に時間をかけた直接対話」で北朝鮮側に米側の意図を伝え、その結果を六カ国協議に戻すことが必要だと述べました。

 朝鮮問題に詳しいシカゴ大学のブルース・カミングス教授は十一日放送のパシフィカ・ラジオのニュース番組で、「北朝鮮は外圧には慣れており、(経済)制裁では変わらない」と指摘。「現状を解決する唯一の方法は、米国と北朝鮮との直接対話だ」と強調しました。

 【ワシントン=山崎伸治】国連のアナン事務総長は十一日、北朝鮮の核実験後初めて記者会見に応じ、「米国と北朝鮮は対話すべきだ」と述べました。

 「六カ国協議があり、だれもが北朝鮮に協議に復帰し、真剣に交渉することを強く求めており、再開されることを期待している。六カ国協議の枠組みであろうと、個別であろうと、対話せねばならない」と強調しました。

 「北朝鮮政府の行動は容認できず、すでに困難な朝鮮半島の安全保障情勢を複雑なものにしている」と批判し、安保理が一致して、対応策を決定することに期待を表明しました。


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