2006年10月13日(金)「しんぶん赤旗」
対北朝鮮「包容政策」
維持?変更? 韓国で激論
原則変えず部分修正も
与党
北朝鮮の核実験実施表明(九日)によって、厳しい措置を求める世論が韓国内外で高まっています。盧武鉉大統領は十一日、武力ではなく対話による平和的解決をめざす強い意思を示しましたが、対話と協力を軸としてきた包容政策をめぐり激しい論議が起きています。
中央日報十一日付は、包容政策を変えるべきだとする人が78%にのぼったという世論調査を掲載。韓国社会世論研究所が十二日に発表した世論調査では、核問題の解決で「南北交渉を優先すべきだ」と答えた人が半数を超えたものの、包容政策については「根本的再検討が必要」と答えた人が54%で、「維持・一部修正」の44%を上回りました。
東亜日報十一日付は社説で、「政府の親包容政策は全面的に失敗した」と厳しく批判。在韓米軍の戦時作戦統帥権の返還中止、開城工業団地や金剛山観光事業の中止、外交安保当局の人事刷新などを求めています。
最大野党・ハンナラ党が包容政策の破棄を要求するなか、韓明淑(ハン・ミョンスク)首相は十日、「包容政策の修正は不可避な状況がきた」と表明。包容政策を部分的に修正する考えを示しました。
一方、包容政策の維持を求める動きも広がっています。与党・開かれたウリ党と民主労働党の国会議員二十四人は十日、「政府は北朝鮮との対話に積極的に乗り出すべきだ」「対北包容政策を放棄してはならない」とする声明を発表。ウリ党の金槿泰(キン・グンテ)議長は十一日、「平和繁栄政策を放棄するときではない。対決主義、封鎖政策で問題を解決できない」と力説し、包容政策の維持を求めました。
金大中前大統領も同日、「太陽政策は南北間において明らかに成功した」と反論。「包容政策にどうして罪があるのか、南北関係を少しでも発展させたが、悪化させはしなかった」と盧武鉉大統領に伝え、同大統領も「全面的に同意する」と述べたことを明らかにしました。
十二日、ウリ党は政府と対応策を協議し、包容政策の基調と原則を変えるのは望ましくないという点で合意。しかし、核実験による「状況変化」に伴い、部分的な修正は検討するとしており、韓国メディアも見直しは避けられないとの見方が大勢を占めています。(中村圭吾)