2006年10月13日(金)「しんぶん赤旗」
企業・自治体に“雇用もっと”
各地で党議員団 頑張る
貧困と格差の最大の原因となっている不安定雇用、低賃金労働は、地域経済にも深刻な影響を広げ、地方自治体の大きな課題になっています。京都、岡山での日本共産党議員団のとりくみを紹介します。
京 都
誘致企業に「正規」増要求
実態を調査 青年シンポ計画
日本共産党京都府議団(松尾孝団長)は、非正規雇用の問題を正面からとりあげるとともに、民青同盟とも協力して青年雇用の実態と要求を把握するアンケート活動にとりくんでいます。
京都は昨年十二月、有効求人倍率が十三年ぶりに一倍台になりましたが、京都労働局の調べでは正社員の有効求人倍率は〇・五九倍と依然として低い水準にあります。
日本共産党の新井進府議は議会(二月)で「本当に雇用は改善したのか」「雇用形態別にみれば正規雇用は減少し、パート・アルバイトなど非正規雇用の労働者が増大している」と追及。“雇用問題は改善してきた”という認識の山田啓二知事ですが、「大幅な改善ほど雇用改善の実感がない」「原因としてパートやフリーターが増えてきている」と答えざるをえませんでした。
党府議団は、府の雇用・就業支援対策は正規雇用の拡大に力を注ぐことが重要だと強調。▽企業立地補助金を出す企業とは正規雇用を確保するなど協定を結ぶ▽府施設の管理・運営のアウトソーシング(外部委託)で、不安定雇用や低賃金労働を広げない―ことを求めています。
条例見直しへ
府は企業立地補助金で誘致をすすめていますが、地元の正規雇用に結びついていないのが実態です。読売新聞の印刷工場に府と地元自治体は二億円出したものの地元雇用は十一人。朝日新聞の印刷工場にも七千五百万円出しましたがゼロでした。
いま、大手自動車部品メーカーの京都工場に十億円の補助金が出されようとしています。地元の正規雇用につながるのか危ぐされています。この問題を山内佳子府議が二月議会でただすと、府当局は「常用雇用を義務付けるようなことは非現実的」「企業に逃げられる」などと答弁していました。
しかし、党府議団の度重なる要求に、府は九月に、企業立地補助金について「正規の従業員雇用の促進に資するよう充実」するとの条例見直しの中間報告を出し、党の主張が実りつつあります。
派遣労働者の実態調査についても、府は一貫して拒んできましたが、九月議会で久守一敏府議の質問に、知事が実態調査を約束しました。
600通もの回答
青年の雇用の実態を明らかにし、行政の雇用対策に反映させるためにとりくんでいる「青年雇用アンケート」にはこれまでに約六百通の回答が寄せられています。
職場での不満(複数回答)について、「賃金が低い」が52%でトップ、「労働時間が長い」24%、「有給休暇がとれない」22%と続いています。
雇用状況について自由に書きこむ欄には深刻な実態がつづられています。
「契約社員で月給十四万円、昇給なし。有給休暇もとれなかった。今、正規社員の仕事を探しているが募集はない」(三十代男性・求職中)、「賃金が安すぎです。共働きが必須で、結婚にも出産にも踏み切れません」(二十四歳女性・契約社員)
青年雇用対策問題にとりくんできた光永敦彦府議は「低賃金で労働基準法も守られていない実態がアンケートからよくわかります。青年が展望をもてるような雇用対策は全庁をあげてとりくむべき課題」だと語ります。
就職難や労働条件改善を求める集会「青年一揆」(同集会実行委員会主催)が十一月に、青年雇用シンポジウムが十二月に計画され、アンケートの内容もそこで活用されます。
前出の新井府議は、「集会、シンポを通じて雇用政策を発展させていきたい」と話しています。(村木博)
岡 山
若者支援窓口の常設実る
権利啓発するパンフ充実へ
日本共産党岡山県議団(武田英夫団長)は青年の就職難を解決するため、毎議会で雇用対策の充実を求めてきました。
県の単独事業として二〇〇四年五月、岡山駅前に開設された「おかやま若者就職支援センター」の相談件数は県当局の予想をこえています。今年度からはセンターの事業を拡大して倉敷市と津山市にも、常設の相談窓口ができました。
開設以来の来所者数は三カ所で一万三千人をこえ、支援を受けて就職が決まった若者は千百九人に(八月末現在)。その約七割が正規雇用です。
日本共産党の森脇ひさき県議が〇三年十二月議会で、「若者の就職相談・支援の窓口を」と求めていたもので、その後も倉敷、津山両市などへの拡大を要求してきました。
森脇県議は今年九月議会の質問でも「偽装請負など派遣・業務請負での違法労働が社会問題になっている」と、ガイドブック作製を要求。県も「改訂中の『ヤングサポートガイド』でとりあげたい」と答えました。
県発行の『ヤングサポートガイド』は、解雇制限や賃金、労働時間など労働者の権利や相談窓口など詳しく紹介したもので、県内の高校卒業生全員に配布。これまでも日本共産党の要求に知事が「啓発パンフレット(ヤングサポートガイド)の中で、労働関係法の周知を検討したい」と答えるなど、年々その内容が充実されています。県労政・雇用対策課は「高校生にも分かりやすく、とっつきやすい内容にしていきたい」と話しています。(岡山県・宮木義春)