2006年10月12日(木)「しんぶん赤旗」

北朝鮮問題 どう解決する

国会で共産党が示した2つの原則

国際社会が一致して対応

平和的・外交的な解決


 「国際社会が一致結束して対応する」「平和的・外交的な解決」――北朝鮮の核実験問題が焦点になった十、十一両日の衆参予算委員会で、日本共産党は二つの原則を堅持するよう提起しました。安倍晋三首相も「そうした考え方は共産党と同じ」と答弁。この問題をただした笠井亮衆院議員(十日)、井上哲士参院議員(十一日)の二日間の論戦からみえたものは――。


笠井議員「いま最も重要なこと」

首相「共産党と同じ考え」

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(写真)安倍首相に質問する笠井亮議員=10日、衆院予算委

 北朝鮮による核実験強行直後となった十日の衆院予算委員会――。

 笠井氏は、日本共産党の志位和夫委員長の談話(九日)や、被爆地である広島・長崎の両市長の抗議文も紹介しながら、「私も被爆二世として、今回の北朝鮮の暴挙に対し、激しい憤りを禁じえない」と、今回の核実験強行を厳しく抗議。そして、いま国際社会がなすべき対応の原則について、政府を端的にただしました。

 笠井氏 いま最も重要なことは、国際社会が一致協力して対応することであって、一連の問題を平和的・外交的に解決することだと考えるが、首相はどう考えるか。

 首相 そうした考え方においては、共産党と同じ考えだ。当然われわれは、平和的・外交的な手段によって解決を求めていきたい。

 日本共産党が掲げる二つの原則――(1)国際社会が一致協力して対応すること、(2)平和的・外交的解決という立場を堅持すること――が、政府も認めざるをえない道理ある主張であることを、浮き彫りにした瞬間でした。

日中韓の連携「極めて重要」

 日中首脳会談(八日)での共同プレス発表は、「対話と協議を通じて、朝鮮半島の非核化の実現、北東アジア地域の平和と安定の維持のため、協力して共に力を尽くす」と表明しています。

 笠井氏は、このプレス発表文も示しながら、日本が独自でとる措置も含めて、「日中韓の間で緊密な連携を重視して対応していくのか」と質問しました。

 これに対しても安倍首相は「(中国と韓国の)両国と緊密な連携をとり認識を同じくしていく、方向性を一つにしていくことは、極めて重要」「(日本独自の措置においても)連絡をとることは必要だと認識している」と答弁しました。

井上議員「軍事対応では最悪の事態」

首相「そうならないよう全力」

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(写真)安倍首相に質問する井上哲士議員=11日、参院予算委

 井上氏は、笠井氏の質問をふまえて、国際社会の一致した対応と問題の外交的・平和的解決について具体的に質問しました。このなかで井上氏は、米国と韓国、中国首脳との電話会談でも「冷静、戦略的に調整した対応に努めること」(盧韓国大統領)、「対話と交渉によって問題を解決する姿勢を維持するよう希望している」(胡中国国家主席)、「米国は現在のところ、外交により朝鮮半島の核問題を解決できると認識している」(ブッシュ米大統領)とのべていることを紹介、首相の認識をただしました。

 井上氏 軍事力で対応して軍事衝突ということになると最悪の事態になる。米韓中が電話会談の中で平和的解決の努力をいったことは大変大事だが、首相の認識は。

 首相 もちろん軍事衝突は誰も望んでいない。そうならないように全力を挙げなければならない。北朝鮮の問題の解決は平和的、外交的な解決をすることについては国際社会が認識を一つにしている。日本も当然平和的・外交的に解決していかなければならない。

核実験によって孤立と危険招く

 井上氏はさらに、北朝鮮が核実験によって“安全保障が強化された”といっているが、むしろ国際社会からの孤立を深め自国を危険にさらしていると指摘。北朝鮮にとって戦力が不足しているのが問題なのではなく、国際社会とまともな外交関係がないことが問題だとのべ、「北朝鮮に日本がどういうメッセージを与えるか」と問いました。

 井上氏 早期かつ無条件に六カ国協議に復帰し、すべての核兵器、核計画を放棄する。国際的な無法行為の清算によって周辺諸国や世界各国との安定した外交関係を築くことが北朝鮮の安全、平和にとっても最大の保障だと道理をもって説き、分からせていくことが大事だと思うが。

 首相 核兵器を開発すれば、ますます国民がおかれている状況、国の生存条件も厳しい状況になっていく。日本との関係でも拉致問題、核・ミサイルの問題について解決すれば正常化する。また世界からも受け入れられる国になれば、新たな未来が開けていく。

 北朝鮮に対して道理を理解するように、われわれも努力しなければいけない。そのためには間違ったメッセージを出さないことも重要だ。

日朝平壌宣言に基づいて解決を

 井上氏は最後に、核実験という現実の前に“六カ国協議は限界”“平壌宣言は破たん”など制裁を強める議論があるが「冷静な対応が必要だ」として、問題解決の上で核、拉致、歴史問題について解決の目標と方向を合意した日朝平壌宣言の位置づけについて質問しました。

 井上氏 日朝平壌宣言に基づいて解決していくという姿勢を貫いていくべきだと思うが。

 首相 北朝鮮が日朝平壌宣言の趣旨、精神にのっとり対応していけば、国交正常化に向かって進んでいき、国際社会の懸念は解消され、北朝鮮には未来が開けていく。平壌宣言の精神に戻るように、われわれも北朝鮮に理解するように―これは対話と圧力にならざるを得ないわけだが、働きかけていかなければならないと考えている。

 井上氏は「国際社会が一致して結束して対応し、そして平和的・外交的な解決を図るために全力を尽くしてほしい」と強調しました。


共産党の主張 国会決議に反映

 衆参両院本会議では、北朝鮮の核実験に抗議する決議が全会一致で採択されました。(衆院は十日、参院は十一日)

 衆院ではこの決議をめぐって、自民、民主両党が国連憲章第七章に基づく措置を入れた決議案を提示。これにたいし日本共産党の穀田恵二国対委員長は、決議は「国際社会の一致した対応」「問題の平和的・外交的な解決」という見地で行うべきだと主張し、修正を求めました。

 最終的に、決議には「国際社会が結束した外交を展開し、平和的な解決を模索すべきである」と明記されました。


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