2006年10月11日(水)「しんぶん赤旗」

衆院神奈川16区補欠選挙

日本共産党の勝利こそ、政治を大本から変える道

志位委員長の訴え(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長が十日、神奈川県厚木市で行った衆院神奈川16区補選での応援演説(要旨)は次のとおりです。


北朝鮮の核実験に抗議

国際社会の一致した対応、平和的・外交的解決を

写真

(写真)訴える志位和夫委員長=10日、神奈川・厚木市

 北朝鮮が核実験を強行しました。国連安保理事会決議や同議長声明が、「世界とアジアの平和への脅威」として一致して反対した国際社会の総意を無視した北朝鮮の行為は、絶対に認めるわけにはいきません(拍手)。さらに、北朝鮮は、六カ国協議でも、日朝平壌宣言でも、「核開発の道は進まない」との国際取り決めを結んでおり、それをじゅうりんすることも許されません。被爆国日本国民は核兵器の惨害を身にしみて体験しています。私は、北朝鮮による核実験強行に強い抗議の声をあげるものです。(拍手)

 北朝鮮にたいし、すべての核兵器と核兵器開発計画をただちに放棄することを求めます。そして、国際社会の対応としては、(1)国際社会が一致協力して対応すること、(2)平和的・外交的解決という立場を堅持すること――この二つの原則にしっかりと立った対応が大切です。日本共産党は、朝鮮半島と北東アジアを核兵器のない地域とするために、これからも力をつくすものです。(拍手)

貧困と格差の広がり

人間らしい労働のルール、庶民増税中止は緊急課題

 この選挙は、安倍新政権にたいする最初の本格的な審判となります。暮らし、平和、民主主義を守る党はどの党か、みきわめて選んでいただきたい。私は、三つの争点が問われていると思います。

 第一の争点は、暮らしの問題です。安倍晋三首相は「再チャレンジ可能な社会」をつくるとさかんにいっていますが、中身は少しもみえません。

 国民の暮らしの実態はどうなっているか、安倍首相はご存じないのではないか。「ワーキングプア」――まじめに働いても生活保護水準を下回る生活しかできない人が、四百万世帯ともそれ以上にものぼるとされています。

 なぜこうなったのか。派遣労働を製造業にまで広げるなど、人間らしい労働のルールを壊してしまった自民党政治に責任があります。社会保障でも、人間らしく生活できる最小限の制度まで崩してきた政治の責任が問われています(拍手)。その反省もなしに「再チャレンジ」を叫び、“国民に努力しろ”としりをたたくのは、自分たちの間違った政治の責任を国民の自己責任に押し付ける、卑劣きわまりない態度といわなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)

 日本共産党は、この暮らしの窮状を打開するために、二つの緊急課題に政治の責任としてとりくみたいと思います。

 第一は、人間らしい労働のルールをつくることです。日本共産党は、偽装請負や「サービス残業」など、職場から無法を一掃するためにみなさんと力をあわせます。均等待遇のルールをつくり、長時間労働をあらためて安定した雇用を増やします。(拍手)

 第二は、高齢者への急激な負担増を中止させることです。政府は、負担増の口実に「世代間の公平」といいます。しかし、「公平」というなら、国民と大企業との間で税金の取り方が不公平になっている、ここに一番の問題があるのではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。大企業の経常利益は、バブル時の一・六倍と空前です。ところが、法人税の税収は、減税を繰り返した結果、バブルのピーク時に十九兆円あったものが、十三兆円に減っています。空前のもうけをあげている大企業に、もうけ相応の負担をしてもらうのが、ほんとうの公平ではないでしょうか。(拍手)

 この二つの緊急課題にとりくめるのは、日本共産党しかありません。企業献金をもらっている自民党や民主党には、大企業にものをいう力も立場もありません。財界からビタ一文受け取らない日本共産党こそ、大企業中心にゆがめられた経済政策を大もとから変える一番の力になります。(拍手)

憲法改定と「米軍再編」

「海外で戦争をする国」づくりの道にストップを

 第二の争点は、平和の問題です。安倍首相は、憲法問題で、集団的自衛権の行使を言い出しました。まず憲法の解釈を変え、つぎには憲法そのものを変えるといいます。何をしようというのでしょうか。

 もともと集団的自衛とは、日本が攻撃されていなくても、米国が海外で戦争をはじめたら一緒に戦争をすることです。イラク戦争のような国連憲章を無視した先制攻撃の戦争を一緒にやるということです。「海外で戦争をする国」をつくる、ここに憲法九条改定の狙いがあるということを、安倍首相が宣言したのです。

 私は、先日、韓国を訪問しました。政界や各界との交流のなかで、「日本の右傾化が心配だ」「憲法九条を変えないでほしい」といわれました。憲法九条は、アジア諸国民と日本国民の犠牲のうえに、「二度と戦争をしない」と世界に誓った国際公約です。「憲法九条守れ」の願いを日本共産党に託してください。(拍手)

 「米軍再編」の問題も、憲法改定と一体との問題です。日本を「海外で戦争をする」ための根拠地にしようというのが狙いです。そのために在日米軍基地を強化し、自衛隊が一緒に海外での戦争をする態勢をつくるというのです。神奈川では、座間への新司令部移設、横須賀への原子力空母の配備という二つの大問題があります。神奈川を、アメリカの無法な戦争の根拠地として強化するなど、絶対に許せません。日本共産党こそ、米軍基地強化をストップする一番の力です。(拍手)

「愛国心」の強制と、競争とふるいわけ

教育基本法改悪法案は廃案に

 第三の争点は、教育基本法改定の問題です。政府の改定案には二つの大問題があります。

 一つは、国が特定の「愛国心」を強制することは、思想・良心・内心の自由を保障した憲法一九条に違反するものです。「愛」は個人の心の最も自由な動きによって培われていくべきものであり、国家が強制すべきものではありません。日本の国民がだれでも自然に愛せるような国をつくることこそ政治のつとめです。(拍手)

 二つ目は、国が教育内容に無制限に介入し、教育の自由と自主性を奪うという問題です。安倍首相の「教育再生」には、ぞっとするようなメニューが並んでいます。(1)全国一斉学力テストを実施し、結果を公表して、学校を序列化する、(2)学校選択制とし、競争とふるいわけをいっそう激化させる、(3)国が監査官を配置して、学校、先生、子どもを監視する、(4)予算で学校を差別する――これは「教育再生」ではない。文字どおりの「教育破壊」そのものではないでしょうか。(拍手)

 子どもたちを異常な競争に追い立て、ふるいわけする。ここにこそ日本の教育の荒廃をもたらした元凶があります。この根源をただし、教育基本法の第一条が明記している「人格の完成」――一人ひとりの子どもの能力を全面的にのばす教育改革をはかることこそ求められています。それに逆行する教育基本法改悪法案は、きっぱり廃案にすべきです。この願いをどうか日本共産党にお寄せください。(拍手)

日本共産党をのばしてこそ希望ある日本への展望が開ける

 今度の選挙は、「自民か、民主か」の選択ではありません。三つの争点――労働法制の規制緩和、消費税増税問題、憲法改定問題、教育基本法改定問題のどれをとっても、「自民も、民主も」、同じ悪い政治の道で競い合っています。

 この動きにストップをかけ、平和、暮らし、民主主義を守る国民の味方は日本共産党です。日本共産党をのばしてこそ希望ある日本への展望が開けると心から訴えるものであります。(拍手)

歴史問題の障害克服へ

日本共産党はひきつづき力をつくす

 最後に、日本共産党ならではのとりくみについて、ご紹介したいと思います。この間、日本では、過去の侵略戦争を正当化する逆流を克服することが大きな問題になってきました。小泉純一郎前首相が、靖国参拝をくりかえし、アジア外交に深刻なゆきづまりをつくるもとで、わが党は、問われている問題の核心は「過去の日本の戦争は正しかった」とする「靖国史観」を政府が認知することにあることを明らかにしてきました。

 安倍新首相にたいして、私は、国会の代表質問、予算委員会質疑などで、歴史認識をただしました。そのなかで、安倍首相はともかくも、これまでいってきた「過去の日本の戦争は正しかった」という立場を、国会で言えなくなりました。「侵略と植民地支配」を「国策の誤り」と認めた「村山富市首相談話」、旧日本軍の関与と強制性を認めた「従軍慰安婦」問題についての「河野洋平官房長官談話」について、私の質問にたいして「受け継ぐ」と言わざるをえなくなりました。(拍手)

 このなかで日中、日韓の首脳会談が再開されました。私たちは、首脳間の話し合いが再開されたことを歓迎します。この会談が、日中、日韓の本格的な友好への転機となることを期待します。

 そのためには、歴史問題での障害をとりのぞく必要があります。靖国参拝はきっぱり中止する、このことを決断すべきです(拍手)。そして、日中、日韓の間で、歴史認識の基本点を共有する努力をはかってこそ、二十一世紀の東アジアで平和の共同体を築く道が開かれるのではないでしょうか。

 日本共産党は、戦前の迫害のもとでも、戦争反対を貫いてきた政党です。そういう政党として、日本が過去の歴史に正面から向き合い、アジア諸国と本当の友好関係を築くために、今後も力をつくしていきたいと決意しています。(拍手)

 どうか「いまの政治を良くしたい」と願うすべてのみなさんの良識を結集して、日本共産党の勝利をかちとらせてください。(大きな拍手)


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