2006年10月9日(月)「しんぶん赤旗」

北朝鮮は核実験をするな

6カ国協議復帰が最善の道


 北朝鮮外務省が三日に「核実験を行うことになる」との声明を発表したことに対し、国連安保理は六日、全会一致で議長声明を採択し実験中止を求めました。北朝鮮の言動は、自ら合意した数々の国際合意を破るだけでなく、北東アジアと世界の平和に重大な危険をもたらし、核兵器廃絶を求める人々の願いを裏切るものです。

 北朝鮮が核実験を強行すれば、地域の安全保障を根底から揺るがすことになります。弾道ミサイルと核兵器の開発は、北東アジアに新たな緊張と対立を持ち込み、軍備拡張競争を誘発する恐れがあります。

 核兵器を持たないというのは、北朝鮮自らが何度も国際的に公約してきたことです。北朝鮮は、韓国との「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」(一九九二年)、日本との「日朝平壌宣言」(二〇〇二年)、北朝鮮の非核化をめぐる六カ国協議の共同声明(〇五年)などを守るべきです。

 北朝鮮は核兵器開発の口実として、米国による敵視政策「対朝鮮孤立・圧殺政策」を挙げます。北朝鮮をイラク、イランと合わせて「悪の枢軸」と名指ししたブッシュ米大統領の演説、北朝鮮も対象に含めた核先制攻撃戦略などです。

 しかし北朝鮮の安全を最も確実に保障できるのは、昨年九月十九日に合意された第四回六カ国協議での共同声明です。北朝鮮と米ロ中日韓による六カ国の合意の主な内容は次の通りです。

 ▽平和的な方法により朝鮮半島の検証可能な非核化を実現する▽米国は北朝鮮に対して核兵器または通常兵器による攻撃、侵略を行う意図を持たない▽北朝鮮と米国は国交を正常化するための措置をとる▽北朝鮮と日本は日朝平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決、国交を正常化する▽朝鮮半島の恒久的な平和体制について協議する▽北東アジア地域での安全保障協力を促進するための方策を探求する。

 共同声明は、北朝鮮が主張する米国の「敵視政策」を転換させる内容も含まれています。

 ところが北朝鮮は昨年来、米国に「金融制裁」解除を求め、六カ国協議への復帰を拒否しています。米政府は、「金融制裁」は北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)にかかわったマカオの銀行への法的措置だとして、北朝鮮の要求を拒否。北朝鮮が求める米朝二国間交渉についても、六カ国協議のなかで直接対話が可能だとの態度です。

 こうした事態に対し、北朝鮮は七月にミサイル発射を強行、さらに今回の「核実験」声明発表に至りました。

 しかし、ミサイル発射や核実験という威嚇で自らの要求を通そうとする瀬戸際外交によって、北朝鮮は国際社会での信用をますます失う結果となっています。それは国連安保理の全会一致の決議や議長声明に示されています。

 北朝鮮が自国の安全保障を確実にし、国際社会の責任ある一員として各国と友好関係を築き、深刻な経済危機を克服するためには、六カ国協議に復帰し共同声明の履行に努力することが最善の道です。(面川誠)


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