2006年10月8日(日)「しんぶん赤旗」

教科書を選ぶのはだれ

採択制度考えるシンポ


 「子どもと教科書全国ネット21」などが呼びかけた「教科書を考えるシンポジウム」が七日、東京都内で開かれました。同シンポジウムは教科書について幅広い人たちで考え合おうと二年前から始まったもの。十回目の今回は「教科書を選ぶのはだれ?」をテーマに、教科書採択制度について議論しました。

 教科書ネットの俵義文事務局長は、教科書採択権がだれにあるかは法律上明記されていないと指摘。それにもかかわらず、「新しい歴史教科書をつくる会」などの攻撃により教師の意見が排除され、教科書採択が教育委員会の権限とされてきたと語りました。教育基本法の成立直後は文部省も教科書について「教師に自主性が与えられる」と述べていたこと、国際的にも教師の採択権が認められ、ヨーロッパやアメリカでは学校ごとに教科書を選んでいることを紹介し、「日本の採択は時代錯誤の制度」とのべました。

 具体的な制度改善の方向として同ネットが作成した「教科書制度改善に向けた提言(案)」の内容を説明。各学校の教師が教科書を比較検討して、保護者や子どもの意見を聞いたうえで職員会議での民主的な討議で採択する仕組みに変えることを提案しました。同時に、当面の改善策として教師・学校の意見にもとづいて選んだ教科書を教育委員会が追認して採択する形にさせることが必要だと語りました。

 東京・国立市の教育委員を務めた安藤聡彦・埼玉大学助教授は、自身が教科書採択にかかわった経験を報告しました。

 小・中学校合わせて四百数十冊の教科書があり、すべての教科書をていねいにみることは不可能なうえ、専門家でもないものが教科書の優劣をつけることはできないと指摘。教育委員が教科書を選ぶことはできないと語りました。

 討論では、子どもや保護者の意見をどう反映させるか、制度改善のためにどう活動していくかなどを活発に話し合いました。


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