2006年10月7日(土)「しんぶん赤旗」

日本原水協の沢田氏らが講演

法的拘束力ある核兵器禁止を

米ハーバード大


 訪米中の原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の代表は五日、ボストン近郊のハーバード大学で講演。被爆者が現在も苦しむ残留放射線の影響を告発し、日本の原水爆禁止運動の取り組みを紹介しました。(ケンブリッジ=鎌塚由美 写真も)


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(写真)ハーバード大学のセミナーで話をする原水協の沢田代表理事(奥の左から3人目)と高草木事務局長(その左)=5日、ケンブリッジ

 「核兵器廃絶の緊急性と可能性・被爆者と日本の運動の観点」と題したセミナーで話をしたのは、原水協の代表理事で被爆者の沢田昭二・名古屋大学名誉教授と高草木博事務局長。ハーバード大学の学生や教員、市民ら約四十人が両氏の話に耳をかたむけました。

 沢田氏は最初に、広島での被爆体験を語りました。病気で学校を休み、爆心地から一・四キロの自宅で休んでいた時、原爆がさく裂。倒壊した家屋からはい出したものの、柱に足を挟まれた母親を助け出そうとしているうちに火の手が迫ってきた―。わびながら母親を置いて火の手から逃げたという同氏の話には一堂が息をのんで聞き入りました。

 同氏は、核兵器が再び使われることのないよう運動することと、被爆者の被害を過小評価してきた「隠された放射線被害」の実態を告発することは自らの「被爆者、物理学者としての二重の責任」だと語りました。二〇〇三年から原爆症認定を求め被爆者が各地で行う集団訴訟のなかで、原爆の残留放射線による内部被ばくによる影響を明らかにしてきたことも紹介しました。

 高草木氏は、日本の原水爆禁止運動の歴史とともに、平和行進や毎月六、九の両日に取り組まれる「6・9行動」など原水協の草の根の日常的な活動を紹介。核兵器をめぐる国際情勢にも触れ、核先制攻撃を公言するブッシュ米政権や「抑止力」として核兵器保有を目指そうとする国の動きがあるなか、「法的拘束力をもった全面的な核兵器の禁止」こそが求められていると強調しました。

 参加者からは、「日本の憲法改正について、世論はどうなっているのか」「日本は、エネルギーの三分の一を原子力エネルギーに依存しているが、原水協の立場は」「核不拡散条約(NPT)に加入していない国やグループが核使用する脅威への対策は」「核廃絶と核エネルギーの廃絶は同時に必要だという意見があるがどう考えるか」など多岐にわたる質問が出されました。両氏は丁寧にそれぞれの立場を説明しました。

 今回のセミナーは、同大学のウェザーヘッド国際問題研究所と日米関係研究所の共催で開かれたもの。ハーバード大学で原水協の代表が話をするのは初めてだといいます。地元の米国フレンズ奉仕委員会の地域ディレクターで、原水爆禁止世界大会に毎年参加しているジョセフ・ガーソン氏の尽力で実現しました。


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