2006年10月7日(土)「しんぶん赤旗」

ネスレ労働者 逆転勝訴

最高裁 「懲戒解雇は不当」


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(写真)判決後、勝利を喜ぶ富田真一さん(中央)と栗村新市さん(右端)=6日、最高裁前

 食品メーカー「ネスレ日本」霞ケ浦工場(茨城県)で働くネッスル日本労組霞ケ浦支部の労組役員二人が上司への暴行などを理由に懲戒解雇されたのは不当として、同社に地位確認などを求めた訴訟の上告審で最高裁第二法廷(古田佑紀裁判長)は六日、原告の訴えを認め、二審判決を破棄する逆転勝利判決を出しました。

 判決は、暴力行為があったかどうかについては言及せず、その上で「(暴力事件が)不起訴処分になったにもかかわらず、実質的に懲戒解雇処分に等しい諭旨退職処分を行うのは合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認することができない」として、会社側の権利の乱用であり、無効としました。

 訴えていたのは、富田真一さん(49)と栗村新市さん(52)。二人は一九九三年の上司に対する暴力などを理由に、二〇〇一年に懲戒解雇されました。一審水戸地裁竜ケ崎支部判決は「暴力を受けたとする上司の証言は疑わしく、解雇は無効」と判断しましたが、二審東京高裁判決は「証言は信用できる」として逆転敗訴していました。

 判決は、暴力行為があったとされる日から諭旨退職処分がされるまで七年以上が経過していることをあげ、時間の経過とともに職場の秩序は徐々に回復したことがうかがえ、重い懲戒処分を必要とする状況になかったとする判断を示しました。

 勝利判決後、原告の富田さんは「暴力社員のレッテルを張られたまま職場を去ることになりかねなかった。本当にうれしい」と涙を浮かべました。栗村さんは「職場では退職強要されて職場を去った仲間もいる。みんなのことを思うと、一人だけが喜んでいられない」と声をつまらせました。


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