2006年10月5日(木)「しんぶん赤旗」

北の核実験表明 世界から批判

対話で解決の努力を


 北朝鮮外務省が三日に「核実験を実施する」との声明を発表したことに対し、国連や各国政府は核実験計画を強く非難し、中止を要求しました。同時に、対話による解決の努力を強調。北朝鮮が六カ国協議に早期復帰するよう呼びかけています。


“非核化宣言守れ” 韓国

 韓国の盧武鉉大統領は四日、「冷徹で断固として対処せよ」と指示し、「実際に実験を強行した時にもたらされる状況について、北朝鮮にはっきりと分からせる措置が必要だ」と強調しました。

 また「北朝鮮の意図をしっかり把握し、北朝鮮が核実験を行うに至らないよう対話を通じて解決の努力を追求する」よう指示しました。

 韓国政府は同日の声明で、「北朝鮮が核実験を行うとの立場を表明したことは、(一九九二年の)『朝鮮半島非核化共同宣言』を完全に破棄するものであり、きわめて深刻な憂慮と遺憾を表明する」と批判しました。

 声明は「六カ国協議再開のために各国が努力しているなかでこうした声明が出たことについて、きわめて遺憾に思う」とし、六カ国協議への早期復帰を求めました。

 また「北朝鮮はすべての結果に対して全面的に責任を負わなければならない」と強く警告しています。


自国の安全強めず

国連総長

 【ニューヨーク=山崎伸治】国連のアナン事務総長は三日、報道官を通じて声明を発表し、北朝鮮が核実験実施を表明したことについて、実験をすれば「国際社会からいっせいに非難が起こり、北朝鮮が声明で表明した目的、すなわち自国の安全保障の強化を達成することにならない」と指摘しました。

 アナン氏は「もし実施されれば、地域の緊張をさらに高めることになる」と懸念を表明。北朝鮮政府に対して「最大限自制し、核実験に関する国際社会の規範を守り、現在の(実験の)一時中止措置を守る」ことを強く求めました。

 さらに北朝鮮が六カ国協議に復帰し、「朝鮮半島の核問題とともに、関係国間の安全保障上のその他の懸念が交渉を通じて解決される」ことに期待を表明しました。


「冷静さと自制心を」

中国

 【北京=菊池敏也】中国外務省の劉建超報道官は四日、核実験の実施に言及した北朝鮮外務省声明について、北朝鮮を名指しした上で、「ぜひ冷静さと自制心を保つよう希望する」との談話を発表しました。

 劉報道官は「中国は朝鮮半島と東北アジアの平和と安定を擁護するために、朝鮮半島の非核化と六カ国協議のプロセス推進を一貫して主張している」と従来の方針を確認。また、北朝鮮に「冷静さと自制心」を求める一方、他の関係国に対しても対話と協議を通じた平和解決に努力し、緊張を激化させる行動をとらないよう訴えました。


「質的に違う状況つくる」

米国務長官

 【ワシントン=鎌塚由美】北朝鮮が核実験を実施すると宣言したことを受け、ライス米国務長官は三日、実験が行われれば「非常に挑発的な行為となる」と指摘しました。中東歴訪中の同長官は、エジプトで記者からの質問に答え、核実験は「朝鮮半島に質的に違う状況をつくりだす」と指摘。「米国だけの問題ではなく、近隣諸国全体にとって深刻な問題だ」と語りました。

 同日、ワシントンで会見した国務省のケーシー副報道官は、六カ国協議の重要性を強調。「われわれは、北朝鮮を含むすべての国にとって、六カ国協議が前進することが最良の道であると依然として確信している」と語りました。


挑発的な行為 実験凍結要求

英外相

 【ロンドン=岡崎衆史】北朝鮮が核実験実施を表明した問題で、ベケット英外相は三日、声明を出し、驚きを表明するとともに、実験実施の場合「深刻な帰結を招く非常に挑発的な行為と英国と国際社会に受け止められる」と警告しました。

 同外相はまた、核不拡散条約(NPT)下での北朝鮮の責務と国連安保理決議一六九五の意思に反しているとして、地域の平和と世界的な核拡散を防ぐために「実験の凍結」を求めました。


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