2006年10月4日(水)「しんぶん赤旗」

靖国史観・「村山談話」・「従軍慰安婦」問題

安倍首相の歴史認識問う

志位委員長が代表質問 衆院本会議

首相、ことごとく語らず


 日本共産党の志位和夫委員長は三日、衆院本会議で代表質問に立ち、安倍晋三首相の歴史認識を問うとともに、憲法と教育基本法の改定問題、格差社会と貧困の広がりについてただし、自民党政治の転換を求めました。


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(写真)代表質問に立つ志位和夫委員長。奥は安倍晋三首相=3日、衆院本会議

憲法・教育・格差問題ただす

 歴史認識問題で志位氏は、日本の過去の侵略戦争を賛美する靖国神社の歴史観の是非をただし、「靖国史観を是とするなら首相の職責をになう資格がなくなる」と指摘しました。安倍首相は「特定の歴史観の是非について政治家が語ることには謙虚であるべきだ」とのべ、答弁を避けました。

 志位氏は、「植民地支配と侵略」への「おわびと反省」を示した一九九五年の村山富市首相談話を継承するのかと追及。同談話が「国策を誤り、戦争への道を歩んだ」としている点を首相自身の歴史認識として共有するのかと迫りました。

 安倍首相は、「政府としての認識は、指摘の記述も含め、談話等で示されてきた通りだ」とのべました。しかし、自身の歴史認識としては「歴史の分析について政治家が語ることには謙虚であるべきだ」などと繰り返しました。

 志位氏は、「従軍慰安婦」問題で、旧日本軍の関与と非人道的な実態を認めた政府の公式見解・河野洋平官房長官談話(九三年)について、安倍首相がかつて「根拠は崩れた」と攻撃していたことを指摘。安倍首相は「政府の基本的立場は、河野官房長官談話を受け継いでいる」と答弁しましたが、自身が同談話を攻撃してきたことには口をつぐみました。

 憲法問題で志位氏は、安倍首相が「軍事同盟というのは“血の同盟”」との見解を持っていることを挙げ、安倍首相がすすめようとしている集団的自衛権の行使容認に向けた研究について、「イラク戦争などでアメリカが攻撃されたときに、ともに血を流す、文字通りの“血の同盟”にすることが内容なのか」と迫りました。首相が掲げている憲法改定が、「アメリカとともに海外で戦争する国」をつくることではないかともただしました。安倍首相は、何の根拠も示さず「批判はまったくあたらない」とのべるだけでした。

 さらに教育基本法改悪問題に関連し、安倍首相の教育観を追及。東京都で行われている公立学校への「日の丸・君が代」の強制を違憲・違法とした東京地裁判決を示し、都の強制を「適切な判断」とする従来の政府の態度を改めるべきだと迫りました。安倍首相は地裁判決をまったく無視して従来の立場を繰り返し、「全国の学校で国旗・国歌に関する指導が適切に行われるようしっかりと取り組んでいく」とのべました。

 「格差社会」問題では、志位氏は、派遣労働の自由化など「人間らしい労働のルールを破壊した自民党政治の責任」を厳しく追及。安倍首相は「労働法制の規制改革は、雇用面で一定の効果をあげている」と開き直り、大企業減税の考えも示しました。


答弁 大きな後退

志位氏批判

 志位和夫委員長は代表質問後の記者会見で、安倍晋三首相の歴史認識に関する答弁について、「靖国史観を非と言えない。(小泉前首相と比べても)大きな後退だ。『謙虚』どころか、無責任そのものの態度だ」と指摘。「村山談話」についても「『国策の誤り』という一番の重要な核心部分を認めると言わなかったことは、非常に重大だ」と批判しました。


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