2006年10月3日(火)「しんぶん赤旗」

サービス残業 是正 05年度

1524社で233億円支払い


 厚生労働省は二日、過労死や過重労働の温床となっているサービス残業(ただ働き)について、二〇〇五年度の調査結果を発表しました。

 労働基準監督署から是正指導を受け、百万円以上の残業代を支払った企業は千五百二十四社、総額は二百三十二億九千五百万円にのぼり、いずれも前年度より増加しました。対象労働者は十六万七千九百五十八人でした(前年度比千百五十人減)。

 企業数は調査を開始した〇一年度以来最高。労働者の告発や日本共産党の追及を反映すると同時に、サービス残業の実態も「高水準のまま」(同省労働基準局監督課)となっていることが浮き彫りになりました。

 一社平均の支払い額は千五百二十九万円、労働者一人あたり十四万円。

 五社に一社は一千万円以上を支払っており、最高額は二十二億九千七百万円(製造業)。次いで二十一億四千万円(金融・広告業)、八億二千四百九十六万円(建設業)となっています。

 日本共産党や労働者の追及を受けて労働時間の厳格な把握を企業に課した同省通達(〇一年度)以降では累計で、五千百六十一社、対象労働者六十六万七千人、支払い総額八百五十一億六千万円にのぼっています。

グラフ

解説

実態まだ高水準 監督の強化必要

 サービス残業は、割増賃金支払い義務を課した労基法に違反する、れっきとした企業犯罪です。

 サービス残業をなくせば百六十万人の雇用が創出できるという試算もあります。非正規雇用の増大に歯止めをかけ、健康をむしばむ長時間労働をなくすためにも監督指導の強化が求められます。

 ところが、労働基準監督官の数が少なく、監督官が毎日一カ所に行っても全事業所を回るのに数年もかかる状態です。

 厚労省が裁量労働制といういくら働いても残業代を払わずにすむ制度を広げてきたことも温床になっています。さらにホワイトカラー(事務系)労働者を労働時間の法規制から外す制度(自律的労働時間制度)を審議会に提案しています。ただ働きと過労死をいっそう深刻にするものです。

 ホワイトカラーの適用除外は、財界の意向を受けたものです。サービス残業の是正指導を受けた財界は「国際競争力の維持・強化の阻害要因となりかねない」(日本経団連経営労働政策委員会報告〇五年版)として、年収四百万円以上の労働者を労働時間の規制から外すよう求めてきました。

 財界の横暴を許さず、労働時間の規制緩和に反対するたたかいが重要になっています。(深山直人)


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