2006年9月28日(木)「しんぶん赤旗」

最低賃金ヨーロッパでは?


 〈問い〉 最低賃金制度は日本とヨーロッパではどうちがいますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 日本の最低賃金制は、制度面でも、金額でも、ヨーロッパの最低賃金制から大きくたち遅れています。

 日本の最低賃金制は、地域別最低賃金を基本とし、一定の地域の産業部門で産業別最低賃金を設定しています。地域別最低賃金は、47都道府県ごとに設定され、適用される労働者は、約5000万人。産業別最低賃金の適用労働者数は、約400万人です。

 2006年度の地域別最低賃金は、719円(東京)〜610円(沖縄、秋田、岩手、青森)で、加重平均は673円となっています。産業別最低賃金は、これより10%程度高く設定されています。

 ヨーロッパ諸国はどうなっているでしょうか。法定の最低賃金制を定める国のうち、キプロスを除くすべての国が全国一律最低賃金制を採用しています。日本のような地域間格差を認めていません。

 主要国の最低賃金は、表のように、月額17万円台から20万円台です。日本の最低賃金の11万円台とくらべると、1・5倍から1・8倍の金額になっています。

 額の表示も、時間額だけでなく、週額や月額表示もなされており、労働者の生計費がみえやすくなっています。日本は時間額表示だけです。

 ヨーロッパ諸国は、格差と貧困の拡大を重視し、その是正のために、最低賃金を大幅に引き上げています。過去6年間の引き上げ率は、最も低い国でも13%、最も高い国では44%に達しています。この間の日本の引き上げ率は、わずか2%です。

 ヨーロッパ諸国ではまた、最低賃金を、労働者の平均賃金の50%にすること、将来的には60%に引き上げることも決めています。日本は、平均賃金の約3割にとどまっています。

 なお、世界101カ国の最低賃金制を分析した『最低賃金決定の基本』(ILO、05年)は、日本の最低賃金制は、「複雑」で「独特」であると分析し、世界の最低賃金制にくらべて特異な制度になっていることを明らかにしています。(筒)〔2006・9・28(木)〕


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