2006年9月28日(木)「しんぶん赤旗」
ブルガリアとルーマニア
来年1月にEU加盟
27カ国体制に
【パリ=浅田信幸】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は二十六日、ブルガリアとルーマニアが来年一月一日にEUに加盟することを承認しました。二〇〇四年五月の中東欧・地中海十カ国に続く第五次拡大で、EUは二十七カ国体制(人口四億八千万人)になります。
バローゾ欧州委員長は「この拡大は欧州において平和を強化し、いっそうの繁栄をもたらすものだ」とたたえました。
ただ加盟決定は、両国の改革の努力を評価し、いわばゲタをはかせて合格点を与えたもの。そのため「司法改革、食料の安全、EU農業基金の管理運営、航空の安全」の四分野でいっそうの改革を促すため、過去の拡大では例のない監視システムを立ち上げることになりました。改革が不十分な場合は、一定の制裁を科すとしています。
欧州の市民レベルでは一昨年の十カ国加盟以後、拡大に対する懐疑論が広がっています。これが昨年のフランスとオランダの国民投票で欧州憲法の批准が否決された要因の一つになりました。ブルガリアとルーマニアの加盟でも、「時期尚早だ」(欧州緑の党)の声もあがっています。
また二十七カ国体制となると全会一致の合意形成がいっそう難しくなり、凍結状態にある欧州憲法の扱いを含めた機構改革も差し迫った課題となります。バローゾ委員長は「憲法問題を解決しない限り、拡大を続けることは賢明でない」と発言。加盟交渉が進行中のトルコ、クロアチアを含めて拡大の速度を緩める意向を明らかにしています。

