2006年9月25日(月)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地建設

民意無視の先行作業をやめよ


 政府は、沖縄県、名護市などと新基地問題などを話し合う協議会を立ち上げた(八月)のを契機に、米軍キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)内の新基地建設に向けた先行的作業にふみこみ、新基地建設のための既成事実化を積み重ねています。

 沖縄県民の七割が新基地建設に反対し、沖縄知事も日米両政府が示したV字案(滑走路二本案)に同意していないのに、作業を進めるのは地方自治をもふみにじる強権政治であり、認めることはできません。

米軍の圧力で

 政府のねらいは新基地計画作成の事前調査を年内にすませ、建設に向けた作業を本格化させることです。

 約六百万円をかけた兵舎などの関連施設の現況調査もその一つです。新基地用地を整備するため現有施設をどうするかの事前調査です。

 名護市教育委員会を動かして基地内埋蔵文化財調査も実施を画策しました。防衛施設庁が要請した新基地建設のための調査であり、住民の反発で実施が断念においこまれたのは当然です。ところが防衛施設庁は「文化財の現地踏査を実施した」と実施済みを強弁さえしています。

 このほか環境影響評価の準備をはじめるなど、新基地建設に向けた動きを強めています。

 政府と沖縄の協議会はまだ設置されたばかりです。第一回協議会のさい、額賀防衛庁長官は、北部振興策は「普天間代替施設の実行と合わせてやっていきたい」とのべただけで、先行作業の説明もありません。こんな状態で新基地建設に向けた作業をはじめるなど許されません。政府は問答無用式の横暴な態度をあらため、先行作業をやめるべきです。

 米軍は、新基地予定地にある施設の取り壊しを来年一月に着手するよう日本政府に求めています。防衛庁は「実施可能なことは速やかに実行する」といって迎合しています(「沖縄タイムス」八月二十三日付)。

 政府が強権的態度をとるのは、米軍が圧力をかけているためです。

 米軍のねらいは、日本政府に米軍基地内の早期工事を進めさせることによって、日本政府が新基地建設の合意を後退させることがないようしばりをかけることにあります。SACO(沖縄にかんする特別行動委員会)で合意(一九九六年)しながら、全国の支援のもとで沖縄県民が反対運動をつよめ辺野古案を流産させた事態を再来させないためです。

 先行作業の積み上げによって新基地建設計画の実施方針を既成事実化し、沖縄県などが政府のいいなりになるよりほかはないという状況をつくりだすのが日米両政府の思惑です。こんな日米両政府の卑劣な策謀を許すわけにはいきません。

 沖縄県や名護市がこうした政府の行為を黙認しているとしたら県民にたいする背信行為との批判を免れることはできません。県民の意思にもとづく行動が求められます。

平和の島づくりへ

 政府は、新基地が爆音や墜落の脅威など新たな痛みをつくりだす運用実態になることを隠したまま建設作業に突き進もうとしています。大型輸送ヘリが陸上を飛ぶのは明白なのに海の上しか飛ばないとか、垂直離着陸も固定翼機のような離着陸も可能な最新鋭輸送機オスプレイが使用するのに「知らない」とうそまでついています。こんな理不尽な態度は許せません。

 基地のない平和な沖縄をめざす運動を大きく発展させ、十一月の知事選挙で新基地反対の候補を勝利させることがきわめて重要です。


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