2006年9月24日(日)「しんぶん赤旗」

ドイツ

リニア激突 23人死亡

10人重傷 時速200キロで作業車に


 【ベルリン=中村美弥子】ドイツ北西部ニーダーザクセン州ラーテン近郊にある高速リニアモーターカー「トランスラピッド」の実験線で二十二日、三十一人を乗せた車両が時速二百キロで作業車両と激突しました。この事故で、リニアに乗っていた見学者と作業車両に乗っていた作業員二人の二十三人が死亡、十人が重傷を負いました。

 独メディアの報道によると、運行会社は、事故は「技術的ミスではなく、人為的ミス」と説明。検察当局は無線通信記録を押収し、事故原因を調べています。

 事故があったのは、南北に走る全長約三十二キロの実験線。リニアは運転手のいない無人遠隔操作で運行されていました。二人の作業員を乗せた作業車両は実験線の清掃や検査を行っていました。

 現場では救助隊約四百人が出動し、救助活動に当たりましたが、実験線が地上約四メートルの高さにあるため難航。同日夜までに事故車両に閉じ込められていた負傷者を救助しました。メルケル首相は、ベルリンでの会議を急きょ切り上げ、ヘリコプターで現場に駆けつけ、遺族を慰問しました。

 トランスラピッドは、ドイツのシーメンスとティッセンクルップが共同開発。世界初の実用リニアとして、中国・上海で約三十キロの区間が開業しています。しかし、上海で今年八月に車両火災事故が起きるなど、トラブルが相次いでいます。

 同国の列車事故としては、一九九八年に起きたドイツ版新幹線ICEの脱線事故で約百人が死亡して以来の惨事となりました。


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