2006年9月22日(金)「しんぶん赤旗」
国連中心の多国間主義を
チリ大統領 テロ対処は民主主義的に
各国首脳 国連総会で討論
【ニューヨーク=鎌塚由美】国連総会の一般討論演説二日目となった二十日、ベネズエラのチャベス大統領がブッシュ政権を痛烈に批判したほか、国連を中心とした多国間主義を強調する声が上がりました。
チリ初の女性大統領であるバチェレ氏は、「国際法と国際機関へのわれわれの責務を再確認したい」と表明し、国連の重要性を強調しました。昨年の国連総会が「多国間軍縮の課題に沈黙したこと」は「もっとも深刻な失敗」だとも述べ、チリは「軍縮議題を再活性化する努力に加わり、軍事目的の核物質の使用を禁止するために取り組む」と決意を語りました。
同大統領は、テロとのたたかいについて「民主主義のなかでテロとたたかわなくてはならない」と指摘。「違法な方法でテロとたたかうなら、われわれは勝利をテロの首謀者に引き渡すことになる」と語り、暗に米国流の対テロ戦争を批判しました。
四月の総選挙でイラク撤退を公約して勝利したイタリアのプローディ首相は、世界の諸問題の解決のために「まず国連の中心的、根本的な役割を回復し、多国間主義を再活性化しなくてはならない」と語りました。
国連改革では、総会が中心的な意思・政策決定機関としての役割を回復し、安保理が作業方法と構成メンバーを見直す努力が必要だと指摘。「国連が、われわれみなによって所有されていること」が「国連の多国間主義の真の支柱である」と強調し、米国流の単独行動主義をけん制しました。
マレーシアのアブドラ首相は、国連は「人間の議会」となるために「討論の場」として生まれたと指摘。対話は一方通行では成り立たないと述べた同首相は、「一部の国を『ならず者』や『悪』だと決め付ければ、対話は必ず失敗する」と述べ、他国を「ならず者」「悪の枢軸」などと非難してきた米政権を批判しました。

